鎌田を4-3-3のなかでどう生かすのか
鎌田を4-3-3のなかでどう生かすのか

 全4試合に起用された三笘の代表内での「序列」が上がったのは確か。だが、自慢のドリブル突破が、チャンスにはなっても思うように得点にはつながらなかった。チュニジア戦などは、先に失点し追う展開になったのはW杯などでもあり得ることで、いいシチュエーションになったかに見えたが、そのまま守られ課題だけが残った。

 チュニジア戦後、三笘はこんな風に話していた。

「序列に関して(自分では)変わったとは思っていない。連戦だったとはいえ、(大事な)ブラジル戦とキリンカップの決勝だったチュニジア戦はベンチスタート。結果を出しても(スタメンに)入り込めていない現状がある。(得点を取るために何が必要か?)チャンスになったときに狙い目がどこなのか、ペナルティエリア内でシュートを打てないならミドルシュートを打って相手を引き出すとか、決まりごとではないが、そういう共有は必要。最終予選から代表に入って、予選のときはそこまで詰める時間がなかったが…。チームとして狙いの細かさは足りていないと思うので、そこは今後議論していきたい」

 個人頼みの突破では、レベルの高い相手に組織的に守られると限界がある。チームとしての狙いがはっきりしていれば、もう少しチャンスが広がる可能性があったとプレーしながらジレンマを感じていたのだろう。

 そして、攻撃では最終予選の途中でメンバーから外れながらも、所属のフランクフルトでヨーロッパリーグ制覇に貢献するなど結果を出した鎌田大地をチームにどう組み込むかも注目されたが、最適な起用法がみつかったとは言えない。

 トップ下を得意とする鎌田を、4-3-3のなかでどう生かすのか、それとも鎌田に合わせシステム自体を4-2-3-1に変えるのか。

 チュニジア戦ではインサイドハーフの左で、左に起用された南野拓実(リバプール)とポジションが重なるシーンも見受けられたが、鎌田が前線に飛び出すシーンは少なくなかった。絶好機にシュートを決めていれば、文句なしだったのだろうが、71分に三笘との交代でベンチに下がったのは南野ではなく鎌田だったのが、いまの森保監督の評価ではないか。

 それでも鎌田は個の能力はまだ上がるし、周囲との連係にも自信を見せる。

「多くの人は僕がインサイドハーフでプレーできないと考えていたと思うが、そこでもプレーできることは見せられた。そこにはある程度、手応えを感じている。シュートを外したシーンのことはよく覚えていないが、相手ゴール前の危険なところに入っていく感覚は、ほかのインサイドハーフの選手にはないところだと思う。チュニジア戦も自分が(最初の好機で)決めていればという話。だから、あとはその回数を増やして決め切ることが大事」(鎌田)

 7月の東アジアE-1選手権は国内組のみで臨むだけに、W杯までに残るテストマッチは9月のインターナショナルマッチウィークに予定される2試合のみ(欧州遠征が濃厚)。そう考えると、今後メンバーや戦い方が大きく変わることはないはず。ドイツとスペインに加え、日本時間15日未明にニュージーランド(オセアニア)との大陸間プレーオフを制したコスタリカ(北中米カリブ海)が日本と同じグループEに入ることになったが、W杯でどんな戦いをするかは選手(とくに欧州組)のコンディション次第かもしれない。


(ライター・栗原正夫)