独立リーグでは四国アイランドリーグPlusの徳島インディゴソックスが昨年まで9年連続でドラフト指名を続いている。他のカテゴリーに比べると一軍に定着している選手は少ないが、増田大輝(巨人・2015年育成1位)、岸潤一郎(西武・2019年8位)などはチームにとって貴重な戦力となっている。

 今年のチームで注目を集めているのが大学卒1年目の井上絢登(22歳・外野手・久留米商→福岡大)だ。昨年は福岡大の4番として大学選手権ベスト4進出に大きく貢献。独立リーグ1年目の今年も前期シーズンではリーグトップとなる7本塁打、22打点をマークしている。豪快なフルスイングは迫力十分で、強打者タイプが高く評価される近年のトレンドにマッチした選手と言えるだろう。

 投手で面白いのが野木海翔(25歳・九州国際大付→東洋大)だ。東洋大では1学年上に上茶谷大河(DeNA)、甲斐野央(ソフトバンク)、梅津晃大(中日)、藤井聖(楽天)、1学年下に村上頌樹(阪神)がいたこともあって目立った活躍をすることはできなかったが、社会人のミキハウスを経て昨年から徳島に入団すると大きく成長。ストレートはコンスタントに150キロ前後をマークするようになり、今年は抑えとしてイニング数を大きく上回る奪三振を記録するなど活躍を見せている。今年で25歳と年齢的には微妙なラインだが、リリーフが手薄な球団が獲得を検討することは十分に考えられるだろう。

 今回取り上げた4チームの候補は現時点で指名が確実と言えるほどではないというのが現状だが、残りのシーズンでのアピール次第では十分にドラフト指名を狙える位置にいるのは確かである。それぞれの選手がチームの歴史を繋げることができるのか。今後の試合でのプレーぶりにぜひ注目してもらいたい。(文・西尾典文)

●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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