柴田昌治著『日本的「勤勉」のワナ』(朝日新書)※Amazonで本の詳細を見る
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 これを変えようと思うなら、経営陣一人ひとりが本当に本気でチームとなり、組織風土改革も織り込んだ方針の大転換をすることが必須です。今のままだと、どうしても深く掘り下げる思考が働かないままになってしまう、ということです。

■日本人が持つ、人間関係における強靭な強み

 そのような問題意識もあり、私はこれまで、企業改革のサポートを自らの社会的な使命と定め、取り組んできました。

 企業改革の推進力を強化するためには、改革をしたいという思いを持つ企業人同士の連携を高めることがどうしても必要になります。

 そして、連携を高めるためには、互いの心理的な安心感をつくり上げるステップを重視しなくてはなりません。

 日本の場合、この心理的安心感をつくり上げるのは他の先進国と比べると、実のところそれほど難しくはないのです。

 というのも、一定の環境さえ用意すれば、お互いに自分に似た「何か」を共有しようする感覚を多くの人が持っている、という人間関係における強靭な強みが日本人にはあるからです。この感覚を私は「日本人が持つ共感力」と名付けています。

 先輩後輩意識や互いが持つ甘えの関係がプラスに働くシチュエーションや環境を用意するのは、やり方さえ間違わなければ、それほど難しくはないのです。

■日本人の生き方に潜む大きな問題

 企業改革の最初のステップでは、「ジブンガタリ」という、一人ひとりが自分のことを自らの言葉でじっくりと語る時間を大切にしています。単なる経歴ではなく、自分が経てきた人生の中で感じたことや考えたことなど、自身の生きざまを互いに語り合ってもらうのです。

 この時間での唯一の譲ることのできないルールは、互いに相手の話に耳を傾けて、その人が本当に言いたいことをじっくりと聴く、ということだけです。

 こうした時間を、話しやすい雰囲気を醸成してから持つことができれば、参加者はかなりオープンに自分のことを話します。

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日本人の生き方には非常に大きな問題が…