この2500万ドルの内訳を見てみよう。「LIVゴルフ」は54ホールのストロークプレーによる個人戦と、4人1組の12チームによる団体戦を同時に実施し、それぞれに優勝者が生まれる。個人戦の優勝賞金は400万ドル(約5億5000万円)、団体戦の優勝賞金は300万ドル(約4億1000万円)で、個人戦は最下位の48位であっても12万ドル(約1600万円)を手にすることができる。これは同週に行われたPGAツアーのRBCカナディアンオープンの19位に相当する賞金額で、予選落ちとなれば0円となるPGAツアーと違い、出場すれば確実に賞金を持ち帰れることができる。

 初戦を例に見てみると、個人戦(400万ドル)と団体戦(1人75万ドル)で優勝したシュワーツェルは最終的に合計475万ドル(約6億5000万円)を手にすることとなった。これはゴルフの歴史の中でも最大の賞金額となり、彼が2011年にマスターズを制したときの約3倍である。さらに、彼の直近4シーズン(2017-18~2020-21)のPGAツアーの賞金合計が488万5344ドル(約6億7000万円)であったことを考えると、4年分と同等の稼ぎをたった3日間で達成しまったことになる。

 この「LIVゴルフ」初戦には日本勢も谷原秀人、香妻陣一朗、木下稜介が参戦した。そのなかで、日本人最高位となったのは木下の13位タイ。賞金額は31万5000ドル(約4300万円)で、これは今季9試合を消化した国内ツアーの賞金ランキングで3位相当の数字だ。日本ゴルフツアー機構はLIVゴルフへの出場を容認しているため、日本人選手が参戦を目指すケースも増えてくる可能性はある。

 では一方で、PGAツアーから「LIVゴルフ」の“移籍”は相次ぐのか、と言われればNOとなるだろう。ローリー・マキロイやジャスティン・トーマスといったPGAツアーの顔といえる選手たちはツアーの対応に賛同をしている。また、世間の風潮もサウジアラビアの人権問題と、法外な賞金で選手を引き抜いているという見方から「LIVゴルフ」や参戦する選手への風当たりはきつくなっている。ダスティン・ジョンソンは、スポンサーの1つであったRBC(ロイヤル・バンク・オブ・カナダ)との契約が解除となった。

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