初めて自分の顔をスクリーンで見たとき、シワだらけや~って思いました。でも受け入れないとどうしようもない。昔は自分の声も顔も体も全部がコンプレックスでした。だけど“カメ止め”に出て、監督に「そのままの大阪のおばちゃんでいい」って言ってもらえた。これが一つのキャラクターになって仕事を頂けるようになったんです。今の自分を生かせる場所があってありがたいなと思います。フランスで作られたカメ止めのリメイク版に出演して、今年5月にカンヌ(国際映画祭)のレッドカーペットを歩かせてもらいました。感極まって泣きましたもん。60過ぎてこんなことがあるんや、生きててよかったーって。私の旬は今! 今です!

カンヌ国際映画祭オープニング上映作「キャメラを止めるな!」に出演した竹原芳子さん。映画誌に掲載された記事を手に、メイン会場のレッドカーペット前で
カンヌ国際映画祭オープニング上映作「キャメラを止めるな!」に出演した竹原芳子さん。映画誌に掲載された記事を手に、メイン会場のレッドカーペット前で

 誰しも自分がほんまに好きなことってあると思うけど、どこまで探し求めるかは人それぞれ。みんながみんな探そうとはしないだろうし、無理してやることではない。でも「竹原みたいに一歩踏み出してみたい」って思ったときは、その人の踏み出すときやと思います。

 今、人生最高に楽しいです。こないだはすっごいきれいな夕日を見ながら歩いてて、ひゃー!ってなりました。だってもし体がしんどくて寝てたら見られなかったし、ちょっと時間がずれても見られなかったわけで。日常のどんな小さいことでも奇跡だと思うようにしてます。花にも「よう咲いたなあ!」とか言って眺めてたら、楽しくなってきませんか? 私ね、昔から100まで生きるで!って言ってるんです。周りにも「生きそうや」って言われてます(笑)。100歳の自分も、元気でニコニコ笑ってたらいいな。

たけはら・よしこ/1960年、大阪府生まれ。元お笑いタレントで、旧芸名はどんぐり。55歳で俳優を志し、映画デビュー作「カメラを止めるな!」(2017)の大ヒットを機にブレイク。以後、ドラマ「ルパンの娘」や映画「最高の人生の見つけ方」「閉鎖病棟―それぞれの朝―」「老後の資金がありません!」「キャメラを止めるな!」(「カメラを止めるな!」のフランス・リメイク版、7月15日公開)など数々の作品に出演。今年1月に初の著書「還暦のシンデレラガール」を出版。

(構成 本誌・大谷百合絵)

※週刊朝日 7月1日号の記事に加筆

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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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