「私一人が笑っていないんじゃなくて、娘の人生にまで影響している。自分が変わらなきゃと、とにかく切羽詰まっていました」
娘は小学生のとき救急車の音を聞いて、ママが運ばれたのかと走り出すほど、ひとり笑顔の無いママを気にかけてきたのです。
片づけたいのもあるけど、変わりたい一心で参加した家庭力アッププロジェクトでした。
年明けすぐのプロジェクトを終えて約半年。いま、ちょい置き部屋の床には何もありません。書類でいっぱいだった机は、明るい作業スペースになりました。
夫の態度はどうでしょう?
「連休に私が娘の家に行き、遅くなったので泊まろうと夫に確認したら『泊まってくれば?』と。翌日帰ったら、機嫌、悪くなってなかったです(笑)」
これまで彼女を縛っていたのは、強い思い込みでした。
「物の要る、要らないの判断が、第三者の視点を入れることで「これ要らないな」と思えたり、ハッと気づくことの連続で。彩智さんの声かけで変わっていきました」
収納から出てきたのは、古い雑誌やお菓子の箱、ほとんどが要らない物。それらが収納を占め、日用品のストックやいま使う物が床に置かれた状態だったのです。娘の友達が来たときにと用意していた来客用布団も、ふと「要らないか。レンタルもあるしなんとかなる」と思えた。正解のないことを決断していく練習になったとか。
もう一つは、つねに自分が頑張らなきゃという苦労性。
私がお風呂掃除の家事代行をお願いしている話をしたとき、プロジェクト中に洗濯機を買い替えたとき、もっとラクしていいんだと固定観念がはずれた。
「手を抜くところは抜いて、快適に過ごすことを考えればいいと、いまは思えます。自分はできないってつねに思ってたから全部、頑張らなきゃと、とらわれていたのかな。“苦労してこそ”みたいな」
彼女の母も楽しむことが苦手で、つねに何か作業していたとか。本で読んで「母が太陽にならなきゃいけない」とわかっていたのにできてなかった。自分がしんどさを選んでいた部分があったと、すごく考えたと言います。