3回戦の高野山戦も、先発・笠木伸二が初回に2者連続弾を浴び、いきなり3失点。智弁打線は3回に1点を返したものの、5回まで毎回安打を記録しながら、3併殺を喫し、6回に本塁打で再び3点差に。
そして9回、中本拓主将の左翼場外弾で1点を返し、なおも無死一、三塁と攻め立てたが、痛烈な当たりが三直で併殺になる不運もあり、2対4で敗退。智弁は7安打を放ちながら4併殺に対し、高野山は3安打のすべてが本塁打という効率の良さだった。
わずか2試合で終わった夏に、高嶋監督は「これが勝負です。(9回の三直は)いい当たりやったのに……。負けるときはこんなものなんでしょう」とトーナメントの一本勝負の厳しさを噛みしめていた。
交通渋滞が勝敗に大きく影響したのが、08年のセンバツV校・沖縄尚学だ。
絶対エース・東浜巨(ソフトバンク)を擁した尚学は、夏の沖縄大会でもV候補筆頭だったが、浦添商との決勝戦を前に思わぬアクシデントが待ち受けていた。
決勝が行われた7月13日は、日曜日とあって、春の王者見たさに1万1千人もの観客が詰めかけ、球場周辺の道路は約4キロにわたって大渋滞。尚学ナインを乗せたバスも巻き込まれ、やっとの思いでグラウンド入りしたのは、試合開始45分前だった。5分後にはシートノックが始まるという慌ただしさに、東浜も「少し気持ちの整理がつかなかった」という。
しかも、東浜は前日の準決勝、興南戦で島袋洋奨(元ソフトバンク)と7回まで1対1の投手戦を演じ、9回150球を投げたばかり。ウォーミングアップ不足と連投の疲労から制球が定まらない初回、球が高めに浮くところを狙われ、4安打3四死球で5点を献上してしまう。
2回以降は立ち直り、10奪三振の無失点に抑えたものの、尚学打線は、伊波翔悟の丹念に低めをつく投球の前に、終盤に2点を返すのが精一杯。初回の乱調さえなければ……と悔やまれる敗戦に、東浜は「まだ信じられない。あっという間に過ぎた夏だった」と涙にくれた。