私が投票に際して注目したいのは、昨年の通常国会で一度は廃案になった入管法「改正」案に対する政党や候補者の態度です。廃案は自国に帰れない事情を抱えた人たちへの刑事罰など、非人道的な内容が批判された結果でしたが、これに「ウクライナの人たちを受け入れるためにも『改正』が必要でしょ?」という衣をまとわせて、再び国会に提出しようとする動きがあります。しかし、ウクライナの人たちの受け入れも現行法で難民認定でき、適切なプロセスは踏める。「ウクライナ危機に乗じて」自分たちの押し通したい法案を再び提出し、「助けて」という声をあげるにあげられないマイノリティーの人たちをますます窮地に追いやるような動きをしないかどうか。入管の問題にも事実に基づいたうえで真正面から向き合い、適切な保護の間口を広げることで、人道的な外交態度を示す。そんな候補者、政党であるかどうか。多くの人たちに注視してほしいと考えています。
さらに言えば、同じくウクライナ危機に乗じる形で台湾有事など中国への危機感と不安を煽り、核共有や憲法改正などを言い出す動きは、近隣諸国との摩擦(まさつ)のエスカレーションにつながります。有権者として、慎重に見極める必要があると思います。
(構成/編集部・小長光哲郎)
※AERA 2022年7月4日号