3月の世界選手権(さいたま市)でアイスダンスの村元哉中、高橋大輔組の活躍が期待される。昨年12月の全日本選手権(大阪府門真市)では、好演技で優勝した。AERA 2023年1月23日号の記事を紹介する。
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アイスダンスは、村元哉中(29)、高橋大輔(36)組が、3シーズン目にして初優勝を遂げた。昨季は全日本選手権2位で北京五輪を逃しているだけに、日本のエースの座をつかむことが目標だった。
■「まだ80点近くいける」
現地入りしてから絶好調。気合が入った高橋は、シングル時代のような極限状態に陥った。
「本番前、ちょっと鼻息荒かったというか。(コーチの)声も聞けてなくて前のめりでした」
「大ちゃんは、本番は自分しか見えてない感じで。ゾーンに入っていたのかな?」(村元)
リズムダンスは、シーズン当初は「テンポが速くて大変」と2人が話していたラテン。全日本選手権では、もう一歩進んだ局面を見せた。
「リズムが身体に入りこんで、ゆっくり強弱をつける余裕が出てきました」(村元)
むしろ、高橋はさらに速いテンポだったという。
「今日はちょっと速くて、ずれみたいのがありました。試合の時は(緊張で)速くなっちゃうので逆にテンポを落とす感じでやっていかないといけませんね。でも大きなミスは絶対にしない自信はついてきました」
今季3度目の70点台後半をマーク。村元は自信をつかんだ様子で答えた。
「自分たちはまだ80点近くいけると信じています」
■36歳でも進化できる
フリーの「オペラ座の怪人」は、高橋ファン待望のプログラムだ。シングル時代に「初めてゾーンを体験した」という、怪人に憑依(ひょうい)できる名曲。今回は怪人の仮面をクリスティーヌが剥ぐシーンから始まり、2人の心の葛藤を演じる。
「(グランプリシリーズの)NHK杯後に修正した部分に、成長を感じながら滑りました」
と村元。特に演技後半のステップはスピード感があり2人ともNHK杯より高いレベルを獲得した。ただし勢いを出していたぶん、最後のリフトを上げる時にタイミングがずれ、下ろす時に2人で転倒。演技を終え、頭を抱えたまま動かない高橋を村元が両手で抱きかかえた。