ただ、その中で、先ほどの決意表明の中でも話させていただいたように、自分の心を蔑ろにすることはしたくないなと。これまで演技をしていくにあたって、本当に心が空っぽになってしまうようなことがたくさんありましたし、わけもなく涙が流れてきたりとか、ご飯が通らなかったりとか、そういったことも多々ありました。正直、いわれもないことを言われたりとか、なんか、なんかねぇ、そんな叩かなくてもいいじゃん、と思うようなこととか、正直いろんなことがありました。
人間としてもいろんな人が信頼できなくなったり、誰を信用していいのかわからないときももちろんありました。でもそれは、羽生結弦だからではなくて、みなさんがそう思っているんだと思いますし、大なり小なり、皆さんがつらいんだなと思っています。だからこそ、僕自身がこれからも生きていく中で、生活していく中で、心を大切にしてもいいんじゃないかなって。もっと自分の心が空っぽになってしまう前に、自分のことを大切にしてきてくださった方々と同じように、自分自身を大切にしていかないといけないと今は思っています。
なので、皆さんも、自分を応援することで、いろんなことを感じていただけたり、生活の一部だとか、生きがいだとか言ってもらうことはとても嬉しいですし、そういうふうにこれからもなっていくつもりです。ただ、そういった中でも、自分の心を大切にするようなきっかけの一つであったらいいなと思います。
ありがとうございました。
――先ほどの言葉の中で「プロというのはアスリートなんだ」という強いメッセージを受け取りました。だからこそ、アスリートとしての羽生選手にクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)について手ごたえとか、なにか感想があると思うので、クワッドアクセルについての決意をもう一度お願いします。
ありがとうございます。正直な話、やはりアスリート、フィギュアスケートってそんな苦しいところを見せてはいけないと自分の中では思っていて。演技しているときにメチャクチャ頑張っているんですけど、本当は。演技が終わったあとは、キスアンドクライっていう点数が発表されるところがあって、そこで倒れ込むわけにはいかないんですけど、僕らは本当に倒れ込むくらい全力で毎回滑っています。