●みかん
皮は「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれる生薬で、胃の働きを活発にする作用がある。陳皮は七味唐辛子の香りづけにも使われている。

●しそ
しその香り成分であるペリルアルデヒドが胃液の分泌を促し、胃腸の働きを回復させる。

●ねぎ
体を温め、胃腸の働きを整える作用がある。発汗を促し、かぜの予防にもおすすめ。

●れんこん
胃の粘膜を保護する作用があり、胃腸の働きを高める。漢方では体を潤す食材の一つ。

 上記以外の健胃食材としては、にら、にんにく、らっきょう、黒豆などが挙げられます。スパイス類では、山椒、ウコン、シナモン、白こしょう、クローブ、ナツメグなどが挙げられます。

「冷え・胃腸の不調」におすすめの食べ方とは?

しょうがは冷えにも、胃腸の不調にもおすすめ ※写真はイメージです
しょうがは冷えにも、胃腸の不調にもおすすめ ※写真はイメージです

 冷えと胃腸の不調、この2つは全く別の症状のように見えますが、漢方ではどちらも健胃作用をもつ生薬でアプローチすることが多いです。胃腸で食べ物の消化・吸収がうまくできないと、体の熱をつくり出すことができません。そのため、胃腸の働きを整えることは、冷えの予防・改善にも有効なのです。健胃作用をもつ生薬の多くは、体を温めるのにも有効です。代表的なのが、しょうが。ねぎやにんにくなどの薬味も温め効果が高いので、料理に活用しましょう 。

 暴飲暴食や冷たい物ばかり摂っていると、胃の働きを悪くしてしまいます。特に夜は、胃腸を休ませるためにもこれらの習慣は極力控えたいもの。それでも夜、どうしてもビールが飲みたい時は、食事で工夫を。鍋などの温かい料理を、薬味と共にいただくことをおすすめします。

 ●アイデア1 スパイスをお米に混ぜて
ウコン(ターメリック)はしょうがの仲間で、健胃作用をもつスパイスです。ごはんを炊く際、ぬるま湯で溶かしたウコンとバターを混ぜれば、鮮やかな黄色のごはんになります。

●アイデア2 しょうがはすりおろして冷凍保存
すりおろしたしょうがをフリーザーバッグに入れ、板状で冷凍保存しているという南雲先生。使う時に必要な分だけ折り、みそ汁や紅茶などに入れるそう。

●アイデア3 薬味たっぷり香味だれ
健胃作用のあるしょうが、しそ、ねぎ、にんにくを細かく刻み、煮切った酒と同量のしょうゆ、砂糖をお好みの量加えたたれに浸け込みます。鍋料理のつけだれとして、また肉や魚にかけてもOK。冷蔵庫で1週間ほど保存可能。

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監修/南雲久美子(なぐも・くみこ)先生
杏林大学医学部卒業。東京慈恵会医科大学、関東逓信病院、北里研究所東洋医学総合研究所での研修を経て、1996年より現職。東洋医学と西洋医学を融合した治療を行っている。

監修/南雲久美子先生
監修/南雲久美子先生

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