コンロ下収納は鍋が取り出しにくくて最悪/Before
コンロ下収納は鍋が取り出しにくくて最悪/Before

 毎日の習慣が、理枝さんを変えていきます。2週間前の自分との約束を守ることができると、不思議なことに、夫を見る目も変わっていきました。

 家族経営だから、平日に仕事を休んだのはインフルエンザにかかったとき、それも1日だけ、という理枝さん。プロジェクトの4回の講座も週末に参加していましたが、どうしても予定があわず、平日の講座に変更したい、ということがありました。王様夫におそるおそる相談してみたところ、思いのほかあっさりと、「行って来れば?」。夫は応援してくれている。そう感じました。

 こんなこともありました。夫が午前中に自宅へ戻ったきり、仕事場に帰ってこない。のぞきに行くと、黙々と自分のスペースを片づけていました。前の晩、娘と相談しながら片づける理枝さんに触発されたのでしょうか。「自分だけやって仕事中に片づけるなんてムカつく」と思いながら、夫の変化をうれしく思えました。

 子どもに対しても「練習頑張って」と言えるようになりました。

 45日間でキッチンやダイニングは本来のシックな雰囲気と輝きを取り戻しました。

 理枝さんは家を丸ごと片づけて気づいたことがあったと言います。

「もっと自信を持ちなよと言われるとき、そもそも自信ってなに?と思っていたんです。それがわかった気がします。自分を信じると、相手を信じることも怖くなくなるんですね」

 前は夫と会話がないことにビクビクしていたけど、いまは一日中、夫が無言でも平気。返事がないときはどうやら「考えている」とわかったから。プロジェクトで教わった通り、相手を理解したらラクになったと理枝さんは言います。

「家に居場所はあったんです。家の中をさわっても大丈夫だったし、夫の言葉も受け流せるようになりました」

 片づけても、王様夫からねぎらいの言葉はありませんでした。でも、その夫が初めて言ったんです。「スポーツの仲間を家に呼んでいい?」と。理枝さんはその日の夕方から1時間ほどでサクッと準備。すっきりと片づいた家に、お客さまを「どうぞ」と迎え入れることができたのでした。

 仕事でも、それまでは内勤だったのが外勤の営業も任され、理枝さんの活躍に期待しているみたい。夫も妻の見方が変わった?と思えた出来事でした。

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全力でやったら前に進めた