片づいたらモノトーンの家具が映えた/After
片づいたらモノトーンの家具が映えた/After


 離婚はつねに頭にありました。別れる選択をしなかったのは、子ども時代に実父が離婚・再婚・離婚をくりかえし、つらい経験をしたから。自分の子どもには安心できる場所でのびのびと育ってほしい。理枝さんは、子どもと夫が仲良くできるように配慮し、自分は夫の地雷を踏まないように、息を潜めて暮らしていました。

 片づけられないのは苦手で忙しいだけでなく、「よその家」に入りこめなかったから。もちろん、あきらめていたわけではありません。片づけ本を読んで「お皿は立てて収納する」「種類別にしまう」などのノウハウを学んでは、ああしたい、こうしたいと考えていたのです。

 夫とも、できれば仲良くしたい。けれど散らかった部屋のせいでいつも下に見られている気がして。離婚したとしても、「あの嫁、最後まで片づけられなかったよね」なんて言われたくない。自分のスペースを完璧に片づけて、ドヤ顔で夫を見返したい。そう思っていました。

 わかっているけどできなくて、一人ぐるぐると考えていたとき、「片づけ」と「家庭力アップ」にピンときてプロジェクトへの参加を決めました。

 プロジェクトがはじまると理枝さんは最初の2週間、「Facebookグループへの1日1投稿」「15分の整理・掃除」「シンクをキレイにして寝る」を目標にしました。

 動ける時間は週末と、家族が寝静まった後、集中できる夜中だけ。子どもたち同様に理枝さんもアスリート気質です。やり出したら火がつき、頭の中で「カーン」とゴングが鳴って朝方まで片づける日もありました。

「やり方は知っているけどやっていない」というところから、「やっている」が普通になると、「自分は片づけができる人だ」という自信がわいてきました。

 本を読んで妄想していたキッチンがイメージ通りになると、ウキウキが止まりません。家中に片づいていない場所があって「夫になにか言われるんじゃないか」といつも不安だったけど、きれいにしたらビクビクする生活とサヨナラできる!と思えるようになりました。

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信じることが怖くない