「国際教養大は、ほかの文系大からたくさん就職者が出るメガバンクなどを志望する学生が非常に少ない。留学中に、日本の強みはメーカーだと気づく学生が多いと聞きます。海外では日本のメガバンクは知られていないけれども、電機メーカーはみな知っている。こうした体験から、世界に通用する電機メーカーで、留学で培った英語力を生かそうとしています」(安田さん)

 次に、「通信」編のランキングを見ていこう。NTT、KDDI、ソフトバンクの3大通信をはじめとした9社への実就職率をまとめたものだ。

 顔ぶれは難関国立大や有名私立大が目立つ。「電気機器・電子」編ランキング1位の電気通信大が2位、同じく2位の東京工業大が3位。続いて卒業生との人脈連携が強力な一橋大が4位に入った。

■公立はこだて未来大が1位に

 通信業界への実就職率は、公立はこだて未来大が突出して1位だ。なぜ北海道の大学がトップなのだろうか。

 同大は2000年開学の比較的新しい大学だ。学部はシステム情報科学部のみ。数学やプログラミング、マイクロコンピュータを操作する実習などを行い、コンピュータ科学を基礎から理解していく。同大教務課就職担当の菊池信吾さんによれば、就職する学生のうち、およそ8割が情報通信業に勤めるという。

「情報通信業で働く卒業生も多く、学内でのキャリアガイダンスなどで、学生に仕事の内容を話していただく機会も設けています。また本学は、大手の通信系企業や電機メーカー出身の教員が多く、学生に前職のインターンシップを紹介するケースもあります」

 同大のカリキュラムでは、3年次に「プロジェクト学習」を必修とする。学科・コースを超えたチームで一つのテーマに取り組み、7月の中間発表と12月の発表会に向け、学生主導で進められる。地域社会や企業と連携するプロジェクトが多く、過去には通信大手3社などと協力してスマートフォンのアプリサービスを開発したチームもある。

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企業出身の教員による実践的な指導