コロナ禍で在宅時間が長くなる中、運動不足から体型が気になりダイエットを始めたいという人も少なくないだろう。効率良く痩せたいなら、自宅でできる筋トレがおすすめだ。AERA 2021年8月30日号で、専門家が具体的な筋トレ法を伝授する。
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まずは屈伸やラジオ体操で体を軽く温めよう。筋生理学が専門の石井直方・東京大学名誉教授のおすすめは、全身の大きな筋肉を鍛えられる4種目。スクワットで下半身、ニートゥチェストでおなか、バックエクステンションで背中、プッシュアップで上半身を刺激する。
スクワットは筋トレの定番。人体で最も大きい筋肉の一つである大腿(だいたい)四頭筋を始め、下半身のほとんどの筋肉を鍛えられる。きつければ椅子などに手をついて立ち上がると、負荷が小さくなる。ただし、しゃがむときは椅子に頼らず、腰を深く下ろすようにしよう。太ももやお尻へのメリハリが期待できる。
ニートゥチェストは呼吸がポイントだ。おなかにある腹直筋は肋骨(ろっこつ)の下にあるので、息を吐いて肋骨を引き下げながら足を上げると効いてくる。背中とお尻を効かせるバックエクステンションは床でもできるが、椅子の上だと背中を曲げたり反らしたりしやすい。手足はあまり気にせず、背骨の動きを意識する。
プッシュアップは腕立て伏せのこと。メインで効かせるのは腕ではなく肩関節を動かす大胸筋。ひざをついても十分鍛えられる。「全力で8~10回を3セットすると確実に効果が出ます。4秒で上げて、4秒で下げると効果が出やすいでしょう」(同)
最新の研究では、こうした自分の体重を使った「自重トレーニング」でも、十分な効果が期待できることが分かってきた。
「筋トレをすると筋肉が強くなり、同じ負荷でも楽になります。負荷をかけるのが理想ですが、家庭にバーベルやダンベルがあるわけではありません。ですが、軽い負荷でも、もう無理と思うまで回数、運動時間を増やすと、筋肉が太くなることが証明されました。10回にこだわらず、例えば20回までやってみて、それもできるようになったら、リュックサックを担ぐなど工夫をしましょう」(同)