私がどうしてもガールズケイリンと思ったのは、ロンドンオリンピックで、女子ケイリンが正式種目になることが決まっていたのに、ケイリン発祥の地の日本に女子ケイリンがないとは? 作るしかないと決意した。国際仕様のベロドロームも完成し、のちの東京オリンピックでは、日本女子選手が銀メダルを取った。
先日招待された平塚競輪場はナイターの決勝で、色とりどりのライトの中、七人の最強女子選手がジャンの音と共に宙を飛び、見事なレース。
平塚市長が挨拶に来て、「ただいま売り上げが十億円突破しました」と、大入り袋が配られた。
会長時代は買えなかった車券を買って、私も三連複七千円の収穫。そんなことより、ネオンの中で表彰を受ける選手たちに拍手。ネットでの車券発売も功を奏し、今や男をしのぐ。久々に当時の関係者と会い、ガールズケイリン「生みの親」といわれるとこそばゆい。
しかしガールズケイリンは女子の一つの職業として定着した。女の時代に貢献しているのだ。
下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。この連載に加筆した『死は最後で最大のときめき』(朝日新書)が発売中
※週刊朝日 2022年7月22日号