イラストレーターのあさとひわさんが、レビー小体型認知症と診断された父(当時78)を母と一緒に支える日々を描いたコミックエッセイ『ねぼけノート 認知症はじめました』(朝日新聞出版)が話題です。なかでも印象的なのが、お父さんが放つ名言。そのなかの一つをご紹介します。
■宇宙のなかで完全なもの
ある日、あさとさんが台所で洗い物をしていると、ダイニングに座っていたお父さんがこう言います。
「ひわは この宇宙のなかで 完全なもの、って感じがするんだ」
あさとさんは思わず洗い物の手を止めます。そしてこの日の帰り道、「ずいぶんとスケールの大きい話でした」とお父さんの言葉に思いをはせるのです。
著者のあさとさんに、お話を聞いてみました。
――認知症になる前のお父さんも、こんな素敵な言葉を言ってくれたんですか?
いえ、ありませんでした。気分の上下がある病気なので、気分がいいときには調子のいいこと言うんですね(笑)。でも、認知症だから言ったというより、父と私がそういう時間を持てたということかもしれません。父からの贈り物ですね。