
そもそも、なぜ、コークスクリューの移設先に手を挙げたのだろうか。
「私たちのところには、コークスクリューの初号機が元々ありました。としまえんさんのは、改良された2号機だったので移設をしようとなりました。その2号機はとしまえんさんで26年間程使用されたものではあったんですけれども、私どものは初号機ですから42年選手だったんです」(八木園長)
年季の入った42年選手の初号機はビンテージカーのような角ばった印象で、26年選手のとしまえんの2号機は新幹線のはやぶさのような流線形のフォルムをしている。(※八木山ベニーランドのホームページに初号機・2号機の写真が掲載。)
なんと、八木山ベニーランドの初号機も“再就職先”が!
「私どもの初号機はだいぶ年季が入っていたので処分しかないかと思っていたんですが、移設の仲買をしてくれるメーカーさんの方で“整備状態もいいので出しましょう”となり、北海道の遊園地に打診してくださいました。本当に、大事に使っていた賜物ですね。そういう点では嬉しかったですね」(八木園長)

移転先でそのまま使用するわけではなくて、一旦工程上の分解整備をして、検査をして導入となるそう。分解整備、運搬、検査……となると費用もかさみそうではあるが?
「あははは、金額ですか? 売却金額は西武鉄道さんの査定ですが、あとは仲買のメーカーさんの資材部に運んでオーバーホールして、八木山ベニーランドに搬入して、付帯工事などもあり、そういうものを一式含めると……本体自体の価格は全体の費用に対してそんなにたいしたことはないんです。費用的には分解整備、オーバーホールの費用が大きいんです。一輛ごとに中を分解して、部品を交換して、また元の状態に戻す。全体の費用としては2000万円の中で収まりました。私どももコロナ禍で厳しい状況でも対応できたところです」(八木園長)
このように再就職先で大切にされ、活躍している遊具だが西武鉄道広報はこれを受け、
「第二の人生ではないのですが嬉しいことですね。としまえんはマイナスなイメージで閉園した遊園地ではないので、来園いただいた皆様の思いの詰まった遊具でまた楽しんでいただきたいなと思っています」
世界最古の回転木馬「カルーセルエルドラド」の再就職先決定が待ち遠しい。
(取材・文=AERAdot.編集部・太田裕子)