イギリス・ロンドン ハイドパーク/ウマとイヌ(撮影:山下晃伸)
イギリス・ロンドン ハイドパーク/ウマとイヌ(撮影:山下晃伸)

 2007年、たまたま知り合いの車に乗って東京・品川付近を走っていたときだった。道路脇の木々の間から3体の恐竜が目に飛び込んできた。恐竜公園として知られる「子供の森公園」だった。

「子どもたちが恐竜に群がっていた。それまで夜の写真ばかり撮っていたので、その流れで夜の公園を撮ってみようと思ったんです。初めに行ったのはこの品川の公園のほか、大田区の『タイヤ公園』(正式名は西六郷公園)、千葉県船橋市の『大穴パンダ公園』とか」

 シリーズ最初の写真集の表紙には、夜空をバックにたくさんのタイヤでできた大きな怪獣が両腕を広げている。

■被写体探しはネットを活用

 この大田区のタイヤ公園は知人から教えてもらったそうだが、その後、被写体探しで頼りにしたのがインターネット。

 手始めに東京23区内の公園でちょっと変わった遊具を探そうと、見つけたのが『公園情報センター』というホームページだった。

「ここで探すと、都内の公園の写真が何百カ所もばーっと出てくる。毎日それをずーっと見ていたんです。恐竜とかを見つけたら、『じゃあ、ここに行こう』とメモ帳に公園名を書き留める。それを繰り返していました」

 最近ではSNSやブログなど、公園の口コミ情報が増えたので、「公園、遊具、恐竜とかで検索すると、たくさん出てきます」。

台湾・台北 中雙連帯状公園/ニワトリとヒヨコ(撮影:山下晃伸)
台湾・台北 中雙連帯状公園/ニワトリとヒヨコ(撮影:山下晃伸)

 東京近郊だけでなく、北海道や九州など、かなり遠くまで遠征するようにもなった。

「1週間の取材であれば、その間にどこの公園を訪れるか、見当をつけて、まとめて行っちゃう。そのときは、完全に昼夜逆転状態です。昼間は寝ていることが多い。だから、時間を逆算していかなきゃいけないんです」

 例えば、19時から撮影する場合、17時にホテルを出発すること起点にスケジュールを考える。

「夜の撮影が終わって、始発電車でホテルに帰ってくる。朝食をとって、部屋に戻ったら、撮った写真を軽く確認して8時に寝る。15時に起きたら17時までに出かける準備をして、19時に現場に到着する。役所で撮影の許可をとるなら、さらに1時間早くしてとか、そういう計算をします」

 東京であれば天気のよい日を選んで撮影に出かければいいが、遠いところに行って1週間滞在して撮る場合は、一晩中、雨でも撮影するという。

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まったく変わったガリバー