これは目からうろこだった。経験した人でないと出てこない言葉である。確かに大地震が起これば、家のどの部分が崩壊するかわからない。玄関が崩壊すれば、勝手口や他の部屋の窓などから出ることになる。備蓄していた場所が崩壊すればまったく意味がなくなる。3カ所くらいに用意しておけば、そのいずれかを持ち出せるかもしれない。避難後に可能であれば、不足したものをピンポイントで取りに行くこともできるだろう。

 また、「足にけがをする可能性があるので、靴は履いて出たほうがよい。ペットが中型犬や大型犬の場合にも靴を履かせたほうがよい」とも聞いた。大地震が起これば、道路にもがれきが散乱している。車は使用できず、歩いて避難所まで行かなければならないことも多い。素足では歩きにくいし、けがをしてしまえば、その痛みでなかなか前には進めない。飼い主もペットも、短時間で履ける靴を用意しておくことを勧められた。

■家の中での行方不明を想定しペット残留情報カードを準備

 災害発生時、飼い主はまず自分の安全を確保する必要がある。その後、ペットが逃げ出さないように、首輪・リードを装着して、キャリーバッグ等に入れ、速やかに避難をすることが大切だ。しかしながら、大きな揺れはもちろん、物が倒れる、壊れるなどの音に驚き、ペットがパニック状態になって、キャリーバッグ等に入れることができないこともある。また、怖さのあまり倒れた家具などの隙間に隠れて、どこにいるかわからないこともあるのだ。本地震でも、多くのペットが行方不明になっている。

 もし、ペットを保護できなかったら無理はせず、ペットが逃げ出さないように、家の戸締まりをして避難をしよう。その際には、「家の中にペットがいます」と書かれたペット残留情報カード等を目立つところに貼り、ペットが室内に残っていることを周知しておくことが重要だ。飼い主が戻れなくても、その情報を見た誰かがペットを救ってくれるかもしれない。情報さえ残していれば、ペットと再会できる可能性は高い。詳細を記載したペット残留情報カード等は、ぜひ用意しておきたい。

 時代の流れと共にペット防災も変化をしている。飼い主はその変化に耳を傾けながら行動し、これからの大地震に備える必要がある。まずは、自分のペットは自分で守るという強い意志を持つことだと被災した飼い主は語る。それこそが、災害に直面したときの「根本」なのだろう。