有名撮影ポイントにはカメラ好きのおじさんがいっぱい
そんな広大なエリアをどのように撮影しているのか、聞くと、シャッターを切る前の情報収集が大切だという。「いまなら、まずインターネットですね」。
実際に国立公園や撮影ポイントをキーワードに検索してみると、たくさんの旅行記がヒットした。さらにアメリカ国立公園局のホームページの充実ぶりには感心させられた(翻訳機能を使えば簡単に日本語で読める)。公園内の詳細な遊歩道の位置やロッジ、キャンプ場なども把握できるし、写真なども豊富だ。
現地に着いたら、「時間があるかぎりロケハンをして」、自分の足でも情報を集める。「イエローストーン国立公園はさすがに広すぎて無理ですけど、できれば公園を車で一周する。車道から歩いて30分ぐらいであればカメラを持って撮影ポイントを訪れて、あらかじめ写すアングルを決めておく。柵のない崖っぷちもあるので、下見をせずに夜明け前の暗い時間帯に行動するのは危険です」。
公園内にあるビジターセンターを訪れることも重要だという。
「パークレンジャー(自然保護管)に『写真を撮りに行くんだけど、ここはどう?』とか、聞いてみる。すると、この時間は光がこう当たるよ、とか教えてくれます。彼らは写真に詳しいです」
合わせて道路状況なども確認しておく。
「あと、有名な撮影ポイントで撮っていると、リタイアしたカメラ好きのおじさんがいっぱいいるんです。ぼくなんかアジア人でちっちゃいから目立つんですね。そうすると、『どこから来たの?』と、声をかけてきて、『ここに行ってみろ。いい写真が撮れるぞ』とか、教えてくれる。そういう情報もけっこう重要です」
写真展会場では三好和義さんとの対談映像も
撮影の足は、公園近くの空港からレンタカーを利用するのだが、悩ましいのが宿だ。夏のハイシーズンは公園内のロッジはなかなか予約がとれないし、値段も高い。国立公園近くの街には手ごろなモーテルがたくさんあるが、撮影ポイントまでの距離が遠く、時間がかかる。
「撮影場所と宿の位置、懐具合を勘案してどこに泊まるか決めます」
ちなみに、路肩や駐車場で車中泊をすることはできない(警察権を持ったパークレンジャーが巡回している)。公園内のロッジに泊まれなければ、「キャンプ場がだいたいロッジのとなりにあるので、そこを予約します。安心して泊まれますし、コインランドリーやシャワーもあります」。
――次に撮影してみたい国立公園はどこですか?
「ベタですけど、ヨセミテ国立公園。あと、レッドウッド国立公園とグレイシャー国立公園。この3つは行きたいですね。アラスカやハワイにも有名な国立公園がありますけど、まずはアメリカ本土の国立公園をまわることが目標です」
ちなみに、安岡さんは3年ほど前まで、三好和義氏のアシスタントを務めていた。会場では三好さんとの対談映像も流される。
(文・アサヒカメラ 米倉昭仁)
【MEMO】安岡佑輔写真展「America’s National Parks」
ソニーイメージングギャラリー銀座(東京・銀座) 10月2日~10月15日