「自分は子供を育てながら、フルタイムで働いて、仕事も子育てもちゃんとやっている。子供をいい学校に通わせるためには教育費がかかるので、私は仕事をしなくてはならない。子供に食事を食べさせていないわけではないのだから、惣菜やレトルトを使って何が悪いのか。あなたがいうような料理を作っている母親なんていない。私がやっているのはごく普通のことだ」

 と反論してきた。そこで知人が、

「でもお子さんの咳が止まらないって、いつもいっているわよね。それって食べている物も影響しているとは考えない?」

 と聞くと、

「さあ、どうでしょうか」

 と首を傾げた。

「あなたが子供に食べさせている内容を聞くと、明らかに栄養が偏っているような気がするの。お子さんが勉強する気にならなくて困るともいっていたけど、体調が整っていないと倦怠感が増して、勉強する気にもならないんじゃないかしら。いくら勉強しなさいって怒っても、お子さんにしたら栄養不足で、それに対応できる体力がついてないんじゃないかしら。晩御飯は豚汁と御飯だけでもいいんだから、それを作ってみたらどう? 帰ってお湯をわかしてなるべくたくさんの種類のカット野菜と豚肉を入れて、煮えたら味噌を入れればいいだけだから。御飯はレンチンでいいわけだし」

 すると今度は、

「御飯を作ると、食器や調理道具を洗ったりしなくちゃならないし、後始末が面倒くさいんですよ。とにかく私のやってることは普通なんです。だからあれこれ文句をいわないでくださいっ」

 と怒ったまま帰ってしまった。

 知人は苦笑しながら、

「そういう人って普通なの?」

 と私にたずねた。私の周囲の働く母親たちは、もちろんお惣菜もたまには買い、外食もしているけれど、できるだけ親のどちらかが作るように努力をしていた。時短料理を調べて夫にも協力を求めて家事を分担しているように見えた。なかには、子供が一人のときは希望した部署で働いていたが、二人目が生まれた後は、子供のために時間が割けるような部署に異動願いを出して、子供たちと接する時間を多くした人もいた。

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