イラスト:オカヤイヅミ
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 小学一年生は夏休みが終わった後、九月に体重測定をするらしい。これは小学校の先生をしている友人がいる知人から聞いた。自分がどうだったかは記憶がない。一部の小学校だけかもしれないが、夏休みが終わり、入学したばかりの児童たちの体調管理をチェックするのは、とてもいいことだ。

 ところが今年、一年生のほとんどの児童の体重が減っていた。十年ほど前にもその先生は一年生の担任になったが、そんな大人数の体重が減少した経験がなかったのでびっくりしたという。それが自分の勤務している小学校だけかと、隣の地域で同じ一年生の担任をしている先生に聞いたら、やはり体重が減少している児童が多かったという。

 この話を教えてくれた知人は、

「夏休みが終わって、子供の体重が減るなんて信じられない」

 と驚いていたが、私もそれと同じ気持ちだった。だいたい小学一年生の夏休みなんて、遊んで食べて昼寝してまた遊んで食べての繰り返しで、夏休みの終わりが近づくと、しぶしぶ宿題の絵日記を描きはじめるといった具合だった。学校がはじまると日焼けして太って登校するのが当たり前だった気がする。

 以前にも収入の高低とは関係なく、家庭での食事の貧しさから、給食を食べられない時期になると小学生の体重が減り、明らかにやる気が失せるという話は聞いていたが、それが広がっているような気がした。たしかに猛暑続きで、食欲がないという人が多いのはわかるが、それは冷たい物の食べ過ぎからくるのではと思う。昔の親は、子供が冷たい物を食べるのを制限していたが、

「あんな小さな子に、アイスクリーム一個を食べさせたらだめでしょう」

 といいたくなるような光景を何度も見た。親自身が一個食べたいのと、子供に嫌われたくないので、半分にしておきなさいとはいえないのだろう。親が我慢できないのだ。

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