クーラーが普及していなかった昔と違い、今のように冷房が利いたなかで冷たい物を食べるのは、相当、体が冷えてしまうはずなのだ。熱中症予防のためにある程度、体を冷やすのは必要かもしれないが、内臓を過度に冷やし続けたらダメージを受けるに決まっている。親が子供の体に無頓着なのだ。
また親自身に食欲がないので、特に子供のためにおかずを作らず、さっぱりしたそうめんだけを作り続けた結果、子供に栄養が行き渡らなかったとも考えられる。給食が食べられるようになれば、また体重も戻ってくるのだろうが、知人は、
「今の子供たちにとって、給食は命綱になっているのよね」
とため息をついていた。
実は一年生に給食を食べさせるのは大変なのだそうだ。保育所に通っていた子供や家庭できちんと食育をされていた子は、そこで提供される御飯を食べる。子供ははじめて見たものは食べようとしない場合が多いので、保育所ではローテーションを組んで同じ食事を何回も提供し、子供たちが、「これは見たことがある、食べたことがある」と感じるようにするという。
すべての幼稚園がそうではないだろうが、持ってきたお弁当を残さないように、
「食べきれるものにしてください」
とお達しがあるらしい。そうなるとほとんどの子供の弁当箱の中に入っているのは、いつも子供が好きなおにぎりと唐揚げがメインになってしまう。家で様々な食べ物を食べさせていないと、子供たちは新しい食べ物を食する機会がほとんどなくなると、知人が教えてくれた。たとえば幼稚園に通っていても、家で様々な物が食べられる訓練をしていると問題はないのだが、好きなものばかりを食べさせていた場合、いくら先生が、
「これはおいしいよ」
と勧めても、よほど惹かれるものがなかったら、子供は口にしないのだ。
知人は将来、保育所の開設を考えていて、現代の子供たちの食事情がひどいのをふだんから嘆いていた。データを取りたいと、小学生の子供がいる親と話す機会があると、必ず、
「ふだん、どんなものを食べているの」
と聞くようにしていた。
「でも、年々、改善されるどころか、悲惨な状況になっている」
というのだ。