2020年7月4日、線状降水帯による大雨で氾濫した球磨川。熊本県人吉市で川沿いの住宅地が冠水した
2020年7月4日、線状降水帯による大雨で氾濫した球磨川。熊本県人吉市で川沿いの住宅地が冠水した
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 一部の地域で記録的に早い梅雨明けの発表となったが、大雨の季節はしばらく続く。梅雨後半から台風シーズンにかけてしばしば大雨が降り続き、災害が発生しやすくなる。キーワードは「線状降水帯」だ。AERA2022年7月11日号から。

【防災気象情報と警戒レベル対応表はこちら】

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 近年、雨の季節になると「線状降水帯」という言葉をよく耳にするようになった。線状降水帯の正体は大雨をもたらす積乱雲が列をなしたものだ。本来は30分~1時間程度と寿命が短い積乱雲が、同じ場所で発生し続けて通過していくことで、大雨が長時間続く。すると、河川が氾濫(はんらん)して浸水したり、地盤がゆるんで土砂災害が発生したりしやすくなる。

 災害として記憶に新しいのは、「令和2年7月豪雨」だろう。2020年7月は、1カ月間で大雨特別警報が7県で発表されたほか、球磨川や筑後川、最上川などの大型河川も氾濫し、多くの犠牲者を出した。特に7月3日正午から8日正午にかけては、九州だけでも9事例の線状降水帯が確認されている。線状降水帯が発生するイメージが強いのは梅雨末期だが、梅雨が明けても線状降水帯は発生する。たとえば鬼怒川が氾濫した2015年の「平成27年9月関東・東北豪雨」は、台風や秋雨前線の影響で線状降水帯が多数発生した。

 大雨による災害を防ぐため、気象庁は線状降水帯による大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に、半日程度前から「気象情報」で呼びかけを行うことにした。この情報は、気象庁ホームページでも見ることができる。

精度は4回のうち1回

 ただし、この情報が発表されるのは、全国を11ブロックに分けた地方予報区ごとである。また、現在の精度は「線状降水帯が発生する旨の情報を出して、実際に発生するのは4回のうち1回程度」なのだという。

 このような精度の気象情報が、果たして防災に役立つのだろうか。気象庁大気海洋部業務課の久保池大輔調査官は、「この情報を発表するときは、線状降水帯が発生しなくても6割の確率で3時間雨量が150ミリという大雨が降る可能性があります。また、線状降水帯は明け方に発生することが多いので、半日前に発生しそうだとわかれば、寝る前に非常用持ち出し袋の準備をして枕元に置いておくこともできます」とコメントする。

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