最初の頃、イベントで客の撮影にぎごちない笑顔で応えていたスペアクのキャストたちが、今や人を楽しませる自信で輝き始めている。

「みんなを巻き込むことを、俺自身が一番楽しんでる。飲み会で一人だけ俯いてるヤツがいたら、その飲み会は負け。そこに俺がいるならその夜はとことん楽しませる」(上田)

 役者の演技を語る目に星が瞬いてる。凄い。この愛こそ上田作品の最強吸引力、と思った瞬間、もう巻き込まれ完了だった。

(文中敬称略)

■うえだ・しんいちろう
1984年 滋賀県木之本町(現・長浜市)で誕生。
 91年 町立木之本小学校に入学。4年の時に木之本少年サッカークラブを創立。Jリーガーをめざし、キャプテンとして滋賀県選抜に出場。
 97年 町立木之本中学校入学。映画と出合う。文化祭でコントを披露。
2000年 同中学卒業。県立長浜高等学校入学。幼なじみの鈴木伸宏と漫才コンビを組む。
 01年 イカダで琵琶湖横断を試み遭難する。
 03年 同高校卒業。長編「√青春」を制作。
 04年 上京、様々なバイトで働く。
 06年 カフェバーを出すために金策に奔走。150万円の借金を作りバイトに明け暮れる。
 08年 小説『ドーナツの穴の向こう側』を自費出版。詐欺などで再び200万円の借金ができる。
 09年 「マゾヒスティック・バースデイ サンクチュアリ編」監督。「PANPOKOPINA」を設立。
 10年 短編「マインツ」、長編「お米とおっぱい。」を制作する。監督・脚本を担当。
 11年 中編「恋する小説家」監督・脚本。
 12年 短編「ハートにコブラツイスト」監督・脚本・編集・照明。
 14年 短編「Last Wedding Dress」「彼女の告白ランキング」監督・脚本・編集。映画監督ふくだみゆきと結婚
 15年 短編「テイク8」監督。 「4/ ねこぶんのよん」(SKIPシティ制作)の「猫まんま」で商業監督デビュー。
 16年 短編「ナポリタン」監督・脚本・編集。
 17年 ENBUゼミナールのシネマプロジェクト第7弾、長編「カメラを止めるな!」(監督・脚本・編集)をイベントで上映。息子が誕生。
 18年 「カメラを止めるな!」を劇場公開し、大ヒット。日本アカデミー賞で8部門優秀賞受賞など、国内外で多数受賞。中編「たまえのスーパーはらわた」(吉本興業制作)監督・脚本。
 19年 正装戦士「スーツレンジャー」監督・共同脚本。鈴木、ふくだとPANPOCOPINA設立(改名)。3人での共同監督による長編「イソップの思うツボ」公開。10月18日から松竹ブロードキャスティング第7弾の長編「スペシャルアクターズ」(監督・脚本・編集・宣伝プロデューサー)が全国公開。

■速水由紀子 
東京都出身。現代人の意識変化を執筆する。著書に、『悪魔のDNA 園子温』(祥伝社)、『家族卒業』(朝日新聞出版)、『「つながり」という危ない快楽』(筑摩書房)など多数。

AERA 2019年10月21日号

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