『アサヒカメラ』が写真家128人に「よく使うレンズ」「好きなレンズ」「ほしいレンズ」を聞いたところ、挙げられたレンズの合計は約200本。
それらを写真家の撮影分野ごとに集計してみた。愛用レンズの傾向や評判のレンズを見ていこう。
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■「勝負レンズ」は単焦点レンズ
スナップやポートレートを主に撮影する写真家の使うレンズで特筆すべき点は、単焦点がとても多いことだ。
この撮影分野で挙げられた98本中、56本が単焦点レンズで、57%にもなる。レンズといえば、ズームの時代となって久しいが、ここいちばんという場面では、やはり単焦点が「勝負レンズ」となるのだろう。単焦点は「よい制約を与えてくれるレンズ」(公文健太郎)であり、「歩いて近寄る、離れる、というのがよい」(蔵真墨)のである。
単焦点レンズのなかでも特に目を引いたのがニッコールレンズの多さで、24ミリから105ミリまで、19本がずらりと挙がった。そのうち3分の1強がマニュアルフォーカスで、阿部淳さん、尾仲浩二さん、百々俊二さん、山内道雄さんなど、スナップショット派の間ではMFレンズの人気がいまだに根強いことがわかる。
ニコンの35ミリレンズはF1.4、2、2.8と、開放F値の異なる製品が挙げられた。林典子さんは「表現が豊かな」AF-S NIKKOR 35ミリメートル f/1.4Gが、百々新さんは「軽くて明るい」Ai AF NIKKOR 35ミリメートル f/2Dがお気に入りだ。
ちなみにニコンの単焦点レンズで愛用者がもっとも多かったのはAF-S NIKKOR 58ミリメートル f/1.4Gで、ハナブサ・リュウさんによると「自然な描写力ときれいなボケ味」が魅力という。
ライカからはニコンに次ぐ9本の単焦点レンズが挙げられた。そのほとんどは35ミリと50ミリに二分される。35ミリ派の英伸三さんは「使い続けて肉体化している」SUMMICRON-M 35ミリメートルf/2を、50ミリ派の藤井智弘さんは「F1.4の明るさながらコンパクトで携帯性がよく、街撮りに使いやすい」SUMMILUX-M 50ミリメートルf/1.4 ASPH.を愛用している。
さらに35ミリと50ミリのSUMMILUXを使い分ける大門美奈さんや、「Elmar、SUMMICRONの古いレンズが好き」という北井一夫さんのような人もいる。
ニコン、ライカ以外の単焦点レンズはどうだろう。オリンパスM.ZUIKO DIGITAL ED 25ミリメートル F1.2 PRO「逆光に強く、歪みがなく、シャープで味のある描写力」(中藤毅彦)。キヤノンRF35ミリメートル F1.8 MACRO IS STM「これ一本で十分」(公文健太郎)。シグマ45ミリメートル F2.8 DG DN「特にデザインが気に入っている。そしてコンパクトである」(山岸伸)。ツァイスBatis 2/40 CF「トータルバランスのよさ」(HARUKI)。