キャッツミャウブックス (撮影/仲宇佐ゆり)
キャッツミャウブックス (撮影/仲宇佐ゆり)
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 が出てくる本ばかりを扱う「猫書店」。元保護猫が店番をしていたり、猫に経営の危機を救われたりと、それぞれの店に物語があるのもおもしろい。小説、エッセー、ノンフィクション、写真集、絵本など、あらゆる分野にわたる猫本の山から、店主や猫本担当者が選ぶおすすめは? 猫好きのレベルに応じてとっておきの一冊を紹介したい。

【写真(全8枚)】「猫書店」&オススメ本を写真つきで紹介!

■神保町にゃんこ堂(東京・神保町)

 神保町の交差点からすぐの「神保町にゃんこ堂」は猫が救世主となった書店だ。もともと「姉川書店」として数十年間、ジャンルを問わず本や雑誌を扱ってきたが、売り上げが落ち込み、店をたたむことを考えた。

神保町にゃんこ堂/東京都千代田区神田神保町2-2 姉川書店 平日10:00~21:00、土曜祝日11:00~18:00(日曜定休)(撮影/仲宇佐ゆり)
神保町にゃんこ堂/東京都千代田区神田神保町2-2 姉川書店 平日10:00~21:00、土曜祝日11:00~18:00(日曜定休)(撮影/仲宇佐ゆり)

「最後の2年間は採算度外視で何かやってみよう」

 そう覚悟を決めた店主は、娘のアネカワユウコさんに相談。アネカワさんが提案したのが「猫本」を集めることだった。

「入り口の三つの本棚からスタート。それが好評で数年かけて猫本の棚を増やし、2年ほど前に店内すべてが猫本になりました」

 売り上げは見事にV字回復。最近は男性の一人客が増えているという。

 そんな経緯があったアネカワさんは、まず、漫画『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』をすすめる。

「人と猫、交互の目線で描かれています。飼い主は『何が気に入らなくていたずらするのか』と思うけど、実は猫が飼い主を気遣っての行動だったりする。けっこう泣かせるんですよ」

 物語が進むにつれ、最初は遠かった両者の距離は縮まっていく。

「一緒に暮らすことでお互い持っていたトラウマを克服する。漫画としておもしろく、女性に人気です」

『猫は、うれしかったことしか覚えていない』は、猫のシュールさを体感してみたくなる一冊。例えば、猫は人間の足をギュッギュッと踏んでくることがある。理解しにくい行動を真顔でするのも猫あるある。

「その猫のユニークさを楽しみたいと思うのでは」

 マンションで飼えないから猫本で「猫不足」を補う人もいるそうだ。

「猫足りてますか? 足りている人も足りてない人も、なみなみと満たしてくれる本です」

『みさおとふくまる』は猫好きには定番の写真集。アネカワさんには猫と人間の暮らしの着地点が見えるという。

「互いに求め合わず、でも与え合う関係性がひしひしと伝わってきます。最終的にここに着地できたら、お互い幸せなのでは」

<神保町にゃんこ堂のおすすめ本>(左から)【レベル3】『みさおとふくまる』伊原美代子 1600円 リトルモア 畑仕事をするおばあちゃんとピタリと寄り添う猫の姿をとらえた写真集。2011年に刊行され、現在13刷。【レベル2】『猫は、うれしかったことしか覚えていない』文・石黒由紀子、絵・ミロコマチコ 1300円幻冬舎 エッセイストと画家・絵本作家が、猫と暮らす中で体験したエピソードを共作。うなずき、笑う全59編。【レベル1】『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』(1巻)原作・みなつき、作画・二ツ家あす 570円 フレックスコミックス 不器用なイケメンミステリー作家と拾われた猫が同居する日々を描いた漫画。5巻まで刊行中。※価格はいずれも税別
<神保町にゃんこ堂のおすすめ本>(左から)

【レベル3】『みさおとふくまる』伊原美代子 1600円 リトルモア 畑仕事をするおばあちゃんとピタリと寄り添う猫の姿をとらえた写真集。2011年に刊行され、現在13刷。

【レベル2】『猫は、うれしかったことしか覚えていない』文・石黒由紀子、絵・ミロコマチコ 1300円幻冬舎 エッセイストと画家・絵本作家が、猫と暮らす中で体験したエピソードを共作。うなずき、笑う全59編。

【レベル1】『同居人はひざ、時々、頭のうえ。』(1巻)原作・みなつき、作画・二ツ家あす 570円 フレックスコミックス 不器用なイケメンミステリー作家と拾われた猫が同居する日々を描いた漫画。5巻まで刊行中。※価格はいずれも税別

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