程よい塩梅の醤油とダシに一晩漬け込んだ煮卵(筆者撮影)
程よい塩梅の醤油とダシに一晩漬け込んだ煮卵(筆者撮影)

「うちは『支那そば』で注目されたお店です。だからこそ、支那そばだけをどんどん進化させていくんです。長くやってこられたのは、うちの支那そばが安心感を与えられる一杯だからだと思っています」

「つじ田」の辻田さんは千葉さんにかけてもらった言葉を胸にラーメン屋を続けている。

「千葉さんが『つじ田』の開店前に試食に来てくれたとき、『10年間続けることは本当に大変だから、まず10年を目標に頑張るんだ』と言ってくれました。今も時々、あのとき言われた10年が経ったんだなぁと思うことがあるんです。どんなブームが来ても全くブレずに支那そばを作り続ける姿は私の憧れですね」(辻田さん)

 千葉さんも辻田さんを後輩として高く評価している。

「彼はラーメンへの向き合い方がハンパではなく、ものごとを吸収する力もものすごいですね。一切妥協しない厳しさを自分の中に持っていて、これと決めたら信じられない力を発揮する。『つじ田』のラーメンとつけ麺は真っ直ぐながらお客さんを魅きつける力があります。後輩として尊敬できる、一生付き合っていきたい人ですね」(千葉さん)

「つじ田」の躍進の裏には先輩の言葉がある。流行に左右されずに27年も同じラーメンで走り続けるのは並大抵のことではない。こうして道を切り開いてきたお店があるからこそ、今のラーメン界があることを改めて思い知らされる。(ラーメンライター・井手隊長)

○井手隊長(いでたいちょう)/大学3年生からラーメンの食べ歩きを始めて18年。当時からノートに感想を書きため、現在はブログやSNS、ネット番組で情報を発信。イベントMCやコンテストの審査員、コメンテーターとしてメディアにも出演する。AERAオンラインで「ラーメン名店クロニクル」を連載中。

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