気温32度だったある日、仕事上のトラブルが発覚して、突然、編集者から連絡があり、今後の対策を緊急に相談しなくてはならなくなった。待ち合わせ場所は喫茶店だから、温かい飲み物もあるのに、どういうわけかそのとき私は、ふだんは外では絶対といっていいほど飲まない、レモンスカッシュを注文してしまった。メニューもちゃんと見たはずなのに、気がついたらそれを頼んでいて、早急にその場でトラブルの解決法を決めなくてはならないこともあって、思考回路がふだんと違っていたのかもしれない。1時間ほど相談して、今後の方針を決定した。やれやれと思いながら家に帰って晩御飯を食べた。ほっとひと息ついた夜、いただきものの果汁100パーセントジュースを、2日前に製氷皿で凍らせた氷があったのを思い出し、残っていた4個を食べてしまった。

 漢方薬局の先生からは、胃は冷やしてはいけない、私の体質からいって、水分を摂りすぎてはいけないと注意されているのは、十分理解していたし、自分も節制していた。服用し続けている煎じ薬のおかげもあり、不調は感じなくなっていた。

 先生もあまりの暑さに、外出した際に、何十年ぶりかでかき氷を食べたといっていて、

「この暑さは外に出たときに冷たいものを口にしないと、耐えられないかもしれない」

 というほどだった。私も氷が入った飲み物は飲まず、水、麦茶は常温で。冷やした料理は作らないと決めていたのに、あまりの暑さに日中は氷入りの飲料、そして夜に氷4個を口にしてしまった。日中は常温の麦茶をちびちびと飲み、麦茶ポットを空にしていた。何となくまだ胃に水が滞っているような気がしたが、暑いさなかなので、排出されるだろうと気楽に考えていたのだった。

 ちょっとまずいかなとは思ったけれど、まあ体調もいいことだし、以前のように神経質にしなくても大丈夫だろうと高をくくっていたら、それが大丈夫ではなかった。いつものように翌朝5時にネコに起こされ、朝御飯をあげなくてはとベッドから体を起こそうとすると、いまひとつ体の重心が定まらない。あれっと思いながら台所まで歩いていても、体幹が定まらないというか、体の芯がなく、ぐんにゃりしているような感覚になった。

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