「令和」最初の国賓として、5月末に日本にやってきた米国のトランプ大統領夫妻。3泊4日の滞在でゴルフ、相撲観戦、首脳会談、宮中晩餐会など大歓迎を受けたが、対照的に本国では「トランプ疲れ」という言葉が流行っているという。疲労感の元凶を探っていくと、「トランプ特需」に沸くメディアの存在が……。
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トランプ氏が大統領に就任してからまもなく2年半となるが、彼は何度も女性や黒人・ヒスパニックなどの白人以外のマイノリティー、イスラム教徒などを差別するような発言を繰り返してきた。当初は驚き、憤っていたアメリカ国民も、そのような言動を繰り返し見聞きすることによって、今では怒りを通り越して「疲労感」に襲われている。「トランプは何を言っても許されるのだ」と。そして、この疲労感の原因として決まってやり玉に挙げられるのが「メディア」である。その「メディア」という漠然とした言葉に、アメリカ国民が息抜きの場を求めているように。トランプ大統領による空前の「メディア叩き」とそれに扇動されたアメリカ国民のメディアに対する不信感は、これまでアメリカの民主主義を支えてきたメディアに大きな動揺を与えた。
ニューヨーク市内の病院に勤務するマイケル・テイラーさん(29)はトランプ氏が大統領に就任した年にこれまで契約していたケーブル・チャンネルを解約し、今ではほとんどテレビは観ない。
新聞などのニュースもほとんど読むこともない。ニュースを目にするのは利用するインターネットの掲示板サイトに上がっている自分の興味のある話題だけ。
「メディアが連日のようにトランプを攻撃して、センセーショナルな報道を続けているのに、ほとほと呆れて馬鹿らしくなり、これ以上ニュースを観続けるのには疲れました」とマイケルさんは語る。
以前はケーブル・ニュース局のリベラル系とされるCNNやMSNBCを主に観ていたというが、トランプ攻撃一辺倒の報道、そしてニュース・キャスターや評論家による自分たちの意見を押し付けるような放送に嫌気が差したという。元々陸軍に勤めていたマイケルさんは海外のニュース、例えば欧州における銃の問題など、トランプ大統領以外にも多くの重要なニュースがあるはずだと言う。