またニュースの論客たちが視聴者に対して「こう考えるべきだ」「こうすべきだ」と自分の意見を押し付けてくる傲慢さが許せないと語る。マイケルさんのように連日のトランプ報道に疲労感を覚え、大統領の言動に無関心になっているアメリカ人が最近増えているという。

 メリーランド大学で公共政策学を教えるジョン・レニー・ショート教授はそのような疲労感に悩まされる症状を「トランプ疲れ症候群=TFS(Trump Fatigue Syndrome)」と呼んでいる。「スターになったら、どんな女ともやれる」といった女性を蔑視するような発言、メキシコ移民に対する「彼らはレイプ魔だ」などといった人種差別発言、そのような驚くべき発言をしてきたトランプ氏に当初は怒りや驚きを感じていたアメリカ国民であるが、現在多くの人々は過激なトランプ氏の発言などを繰り返し報じ立てるメディアに対して疲れを覚えているという。

 昨年、米調査機関ピュー・リサーチ・センターが発表した調査によると、アメリカ国民の7割近くが今のニュースの量に対して疲れを感じているという結果が出た。それを共和党員に限ると、8割近くにもなる。

ピュー・リサーチ・センターのマイケル・バーテル上級研究員は「アメリカ国民の7割がニュースに疲れを感じている」という
ピュー・リサーチ・センターのマイケル・バーテル上級研究員は「アメリカ国民の7割がニュースに疲れを感じている」という

 それでもアメリカのメディアはトランプ大統領の一挙手一投足を報じ続ける。ツイッターで大統領が北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長から受け取った親書を「素晴らしい手紙だ」とつぶやくと、即座にメディアはそれを取り上げ批判する。またトランプ大統領は自身のツイートの中で誤字や脱字が多いことでも有名であるが、それらをいちいち取り上げて大統領の能力を馬鹿にするような報道も目立つ。アメリカのメディアは本来の報道機関としての役割よりもそういった枝葉末節にこだわり、本当に大切な政策やそれが一般のアメリカ国民の生活にどのように影響するのかなど「本来のニュース」が見失われてしまったとショート教授は指摘する。それでもメディアが執拗にトランプ報道を続けるのには本来の報道の目的以外に、大きな理由があるようだ。

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