■暮らしの中で変化を愉しみ育てる 職人技が際立つ茶筒
創業は文明開化の1875(明治8)年。京都には職人の技巧と道具を育む文化が、しっかりと根付いているのだと気付かされたのは、開化堂の茶筒に出合った時でした。十数年前、初めて工房へ友人と訪れた時「とにかく撫でてや。毎日、手で撫でて、撫でて可愛がって育ててや」と、職人さんが大切な我が子を見守るような眼差しで聴かせてくださいました。素材は、銅、ブリキ、真鍮。それぞれが時間と共に変化し、味わい深く育っていきます。じっくりと変化が愉しめる真鍮は、輝くような金色から少しずつ赤み、黄色がかっていき、10年経つと銅に似た濃い飴色に落ち着いていきます。日々の暮らしの中で、使う毎に手に馴染み、愛着もひとしお。お茶の時間に欠かせない相棒となっていくのですね。
■ゆったりとしたくつろぎのひと時にふかふかのクッションを
今回のプティ・タ・プティのテキスタイル/title:レ・モンターニュ「山」。
人と人とが巡り逢いつながってゆく姿は、山の連なりにも似ています。偶然の出逢いをテーマにした山の柄は、鴨川から眺める山の連なりを様々な紙の重なりで表現したプティ・タ・プティを象徴するテキスタイルです。ブランド立ち上げ当初の一体型から、カバータイプへとモデルチェンジしたスクエアクッションは、嵐山の老舗京布団店「プラッツ」の職人により丁寧に仕立てられています。お茶の時間、ふかふかのクッションと共にくつろぎのひと時を。(撮影/竹下さより、編集協力/江下祥子)
ナカムラユキ
京都市在住。イラストレーター、テキスタイルデザイナー。著書に『京都さくら探訪』(文藝春秋)『京都レトロ散歩』(PHP)他多数