昨今の安倍政権批判にも疲れたよ、という人にはうってつけ。教育と憲法をめぐる議論を中心に、今の世の中にどんな問題が潜んでいるのか、何を批判しなくてはいけないのかが明確になる一冊だ。
共に関西出身でラグビー好きという元文部科学事務次官の前川氏と法学者の谷口氏が絶妙のトークを展開。高校の先生に求められた政治的中立性、小・中学校の「道徳」と高校の「公共」、教科書の共同採択制度、教員免許更新制度など、日本の教育の問題点を指摘する。特に「経済的地位で教育上差別されない」という憲法や教育基本法を解説する部分は必読だ。
二人は人権や平和、憲法改正にも言及して政治を批判することの大切さを説く。批判の作法を提示しながらも、批判に疲れたら休みましょうと、救いの手も差し伸べているのが優しい。(金田千里)
※週刊朝日 2019年4月19日号