昭和の高度成長期、日本企業が求めるキャラクターは総じて「まじめ」一本だったけど、この頃から「ゆかい」がブレンドされるように。イケイケのバブル時代には、さらに「ゆかい」が台頭して、「面接でおもしろいことを言った者勝ち」みたいな現象も起こった。ところが、バブル崩壊とともに揺り戻しがおこり、その後の日本人はもうずっとまじめ一本。バブルを謳歌した自分個人の感想だが、最近若者と話していると、昭和時代の堅物おじさん上司と話しているような気持ちになったりするもの。
それはそうと死語ランキングには、この「まじめ×ゆかい」のように、時代を映した言葉としてあんなに持ち上げられたのに、あっという間に時代が変わって忘れ去られた言葉が死屍累々。
■時短時代にはあり得ない、あの流行語
例えば、この時短の時代には絶対あり得ない「24時間タタカエマスカ」(1989年・時任三郎)とか、価格破壊にもほどがある「2500円スーツ」(1993年・洋服の青山東京銀座店)などがそう。念のため「洋服の青山」のショッピングサイトを見てみると、現在一番安いメンズスーツでも、だいたい2万円(税別)前後が相場となっていた。
一方、当たり前になりすぎて言葉が不要となり、死語となった言葉も少なくない。例えばママ文化の誕生となった「たま・ひよ(族)」(1993年・たま・ひよママ代表)や、転職することを意味する「DODA/デューダ(する)」(1989年・学生援護会社長)、また呼び名は変わったが雇用形態は一般的になった「契約スチュワーデス」(1994年)などは、こっちのほうの発展的死語と言えそうだ。
次回は、検索ヒット数が多く「定着した」と考えられる新語・流行語をジャンル別に見る。(文/福光 恵)