昨年の6月からわが家の庭に、捨てとおぼしき子猫が姿を現すようになりました。

 ある晩、わが家の飼い猫のベンが窓とカーテンの間に入って出てこなくなりました。

「ベン!」と呼んでカーテンをあけてみると、白っぽい子猫がガラス越しに家の中をじっと見ています。

 わが家では2匹も猫を飼う余裕がなかったので、そのままにしておいたのですが、そのあと子猫は毎晩現れるようになりました。

 しかし、寒い冬になり、何だかかわいそうになって、一度子猫を家の中に入れてみました。すると、雌なのに縄張り意識が強いベンが猛烈に怒り始めたので、その子猫が入っていいのは玄関までということになりました。

 今では、私が仕事に行くときは必ず途中までついてきて、そのあとどこかへ消えていき、夜になるとまたどこからか現れます。

 こうなると情が移ります。2匹合わせて「ベンテン」ということで、子猫にテン(写真、雄)という名前を付けました。

 こうして今日に至っているのですが、考えてみると、ずっと家の中で飼われているベンと違い、テンは夜はたとえ玄関まででも家に入れてもらい、餌もあり、昼間は自由にあちこち飛び回って遊んでいるわけです。ならばそれはそれで幸せなのではないか、と思うようになりました。

 新しい飼い主がいつ見つかってもいいように、去勢手術や予防注射もすませたのですが、もらい手はなかなか見つからず、テンはどんどん大きくなっていきます。

 このままいくと、どうやら2匹の面倒を見なければならないのかなと腹をくくっています。

「テンちゃん、毎朝お見送りありがとう」と言いながら頑張って仕事に出かける毎日です。

(太田あきのさん 静岡県/38歳/アルバイト)

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