●預金だけで「走り切る」のはかなりシンドい……

「なんとなくわかりましたけど、やっぱり預金がいちばん落ち着くんですよね……」

 ここまでの話を聞いても、まだそういう気持ちの人のほうが多いはずです。ところで、みなさんは「老後にどれだけのお金が必要か?」を考えたことがありますか?

 これについては、日本でもいろいろな見解があるようですし、各人のライフスタイルによって左右される部分もあるでしょう。ただ、いくら必要になるとしても、正しい行動を取るためには、次のような考え方を頭に入れておけば十分です。

 いま35歳のFさんが、これから65歳までの30年のあいだに、老後資金3000万円を貯めたいとしましょう。このとき、月3万円の預金だけで3000万円をつくろうとすると、どんなことになるでしょうか?(なお、利回りはゼロで計算しています)

 3万円×12カ月×30年=1080万円

 ご覧のとおり、月3万円の預金では3000万円の目標には遠く及びません。ためしに預金額を月5万円に増やしても、合計額は1800万円……なかなか大変ですね。では、預金だけで3000万円を貯めるには、月々いくらを積み立てていけばいいのか?

……答えは月額8万4000円です。

 8万4000円×12カ月×30年=3024万円

 問題はそんな額を毎月貯められるかどうかです。ある程度の年収がある人でも、月8万円以上となると、なかなか厳しいのではないでしょうか。老後資金の1つの基準とされる3000万円ですら、預金だけで賄おうとするのは、あまり現実的ではないのです。

 そこで必要になるのが、一定の利回りを生み出していく資産形成エンジンです。「毎月積立額」と「30年間の平均年利」を掛け合わせて、30年後の資産額を計算してみましょう。(【図表1】参照)

 たとえば、「月3万円の積立額を年3%で運用した場合、30年後には1748万円」になります。

 積立額が月1~2万円のレベルでは、かなり運用がうまくいっても3000万円はなかなか難しいということがわかりますね。月3~5万円のレベルだと、5%くらいの利回りを出せれば目標達成できますし、月6万円以上になると数%以下の利回りでも達成はある程度見込めます。

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