暦のうえではすでに冬を迎え、いちだんと寒さが増してきました。明日11月17日は「れんこんの日」です。れんこんの一大産地である茨城県土浦市に全国の生産者が集まって、1994年11月17日に「れんこんサミット」を開いたことに由来します。れんこんの出荷は晩秋から冬にかけてがピーク。今がまさに旬の時季にあたります。
れんこんはのどの痛みや胃腸の疲れなど、これからの季節に出がちな不調に役立てたい食材。手軽につくれる「養生レシピ」を、ぜひ毎日の生活にとりいれてみましょう!

れんこんの「穴」は何のためにあるの?

れんこんの特徴は、なんといっても輪切りにしたときにあらわれる穴。れんこんは蓮の茎の部分にあたりますが、この穴は水生植物である蓮が空気を運ぶためにあいているのです。葉、茎、花などすべての部分に縦に貫通した数本の穴があって、地下茎であるれんこんに繋がっています。この穴で葉から取り入れた空気を送って呼吸していたのですね。
たくさんの穴が節の部分でギュッと詰まっていることから、その穴を締める作用が人間のからだの穴にあたる気管支やのど、鼻の炎症によい作用があるといわれているそう。また、れんこんの穴は「先を見通す」ことに通じ縁起がよいといわれ、正月のおせち料理に用いられるようになりました。

この時期にとりたい栄養素!ポリフェノールが豊富

れんこんを切った時に糸を引く粘性物質は、胃の粘膜を強化したりのどの痛みや咳にも役立つとされています。皮や節に多く含まれるタンニンはポリフェノールの一種。消炎や止血の作用に優れることから、同様に胃腸の粘膜を整えたり、咳、出血や腫れものなどを緩和するといわれています。
また、れんこんにはビタミンCが多く含まれ、 ビタミンB1やミネラル、カリウム、食物繊維も豊富。れんこんのビタミンCはでんぷんに守られているため、加熱しても損なわれにくいのが特徴です。疲れた胃腸やのどの不調に加えて、風邪の予防にも役立てたい食材ですね。調理するときは、アク抜きせずに皮も使うのがポイント。

すぐにできる「養生レシピ」で、のどの痛みや疲れた胃腸を整えよう!

今が旬のれんこんは、この時季にぜひ常備しておきたい食材です。不調を感じたときにさっとつくれる養生レシピをご紹介します。

◎咳やたん、のどの痛みに「れんこん湯」
[材料(1回分)]
・れんこんおろし汁(特に節の部分がよい):大さじ3
・しょうが汁:2〜3滴
・自然塩:少々
・水:大さじ6〜9
[つくり方・飲み方]
鍋に皮つきれんこんのすりおろし汁と塩、しょうが汁を加えてさっと煮立てます。沸騰する直前に火からおろし、温かいうちに飲みます。1日に2〜3回目安に。

◎胃腸の不調、呼吸器系の不調の改善に「ひじきれんこん」
[材料]
・れんこん:150g
・ひじき:50g
・ごま油:大さじ1
・しょうゆ:大さじ3〜4
[つくり方・食べ方]
れんこんは薄いいちょう切り、ひじきは洗って3センチほどの長さに切ります。鍋にごま油を熱して、ひじき、れんこんの順に炒め、かぶるくらいの水を加えて中火で煮ます。ひじきがよく煮えたらしょうゆ味をつけ、煮汁がなくなるまで煮含めます。毎食少しずつ食べましょう。ひじきを加えることでさらにからだを温めて引き締める力がプラスされ、れんこんとダブルで不調を緩和します。
れんこんはいくつか節にわかれていますが、先端ほどやわらかく逆に遠くなるほど身がしまり繊維質が豊富になります。このような特徴をいかして、部位によって調理法を変えてみるとより美味しくいただけます。「芽ばす」とも呼ばれる先端の第1節は、しゃきしゃき感をいかすサラダや炒め物などに、その次に繋がる第2節は食感と甘みを楽しむ天ぷらなどの揚げ物や煮物、それ以降の節は粘りが強いため、こってりした料理やすりおろし料理などに利用するのがおすすめ。生でも、煮ても焼いても揚げても美味しいれんこん。多彩な調理法で、ぜひ旬の味覚を楽しんでみてくださいね。

参考文献
大森一慧 『からだの自然治癒力をひきだす食事と手当て』 サンマーク出版 2008
吉田企世子『旬の野菜の栄養辞典 最新版』エクスナレッジ 2016
参考サイト
いばらきれんこん広域銘柄化推進協議会