●ネチネチでプライド高く 器の小さい「小物なおじさん」
次に話を聞いたのはメーカー勤務の38歳独身男性Bさん。多趣味が高じて独り身を貫き、若手とおじさんの狭間に位置する彼だったが、最近は枕やシェーバーから他ならぬ自分の「おじさん臭」を痛烈に感じ、また白髪が目立ち始めたことから、自分がついにおじさんの仲間入りを果たしたことを観念して自認したという。彼は仕事上で垣間見られる、他のおじさんのおじさんっぽさを指摘した。
「日本の企業はなんだかんだで年功序列制を根強く残しているところが多く、うちもご多分に漏れずその1つです。だからおじさんと呼ばれるくらいの年齢になると、社内でもそれなりの立場に就いている人が多いことになります。
これは本人にとっても下の人間にとっても悲劇だとも思うんですが、人の上に立つような器でない人が役職に就いてしまうんですね。そうすると、そうしたおじさんたちの小物っぷりがものすごく目につくんです」
「小物なおじさん」が上司となったとき、器の小ささが顕著に露呈するそうである。
「いわゆる『嫌われる上司』を想像してもらえればわかりやすいと思います。小物なおじさんはまず、人心掌握がものすごく下手です。説教はネチネチしているし、責任は何かと部下に押し付けようとする。そのくせ偉そうで、酒の席では自分の仕事論や武勇伝をぶち上げます」
同じ役職付きとして、Bさんはそれらのおじさんを見るにつけ歯がゆさを募らせているようだ。
「彼らにも『これまで長年勤めてきて今の地位がある』という根拠に基づいたプライドがあるのでタチが悪いんですね。そのプライドに固執する様が、世のおじさん像をさらにみみっちいものにしていきます」
●聞く耳持たず「嫌われるおじさん道」をまい進
Bさんはそうしたおじさんに「やり方を少し変えてみてはどうか」とやんわり指摘したことがあるそうだ。しかし相手のおじさんは聞く耳持たず。プライドに依拠して、「嫌われるおじさん道」をまい進していく様子である。
「それと、おじさんになってみてわかったんですが、やはり下の世代、若手連中というのは少し怖いんですね。立場はもちろん、価値観も違うだろうし、何を考えているかわからないところがある。だから接するには一定の覚悟が必要なんですが、若手にあからさまにおもねったおじさんもいただけない。たとえば『KY』なんて言葉、若い人はいまどき誰も使わないじゃないですか。若手に擦り寄ろうとして失敗しているおじさんを見ると、痛々しい気分になります」
おじさんが若手に近づこうと努力する姿はいじましい。その試み自体に罪はなく、むしろ立派なものである。しかしそれが明後日な方向で空回りしている様を見た別のおじさんが肝を冷やす、といったシーンもあるようだ。