



「推しのアップだけではなく、ぜひ“引きの絵”も撮ってほしい。そうすることで、ライヴ全体の撮影に関する視野も広がっていくと思います」
アイドルの取材に撮影に動き回る男、ヤスさん(「ヤスのIDOL LOVE」)へのインタビューもついに完結編。前回のインタビューで“90年代から「第2次アイドル人生」が始まった”とおっしゃっていたが、その話の続き、そしていま夢中になっている逸材(アイドルだけではなく、映画監督も含む)について、たっぷりうかがった。
■ライヴでは一瞬のパフォーマンスを狙い、スタジオでは「いい表情」を押さえる
――僕(筆者)がヤスさんに初めてお会いしたのは2013年の初めでした。
いきなり、「アップアップガールズ(仮)、いいですよね」と話しかけられたことを覚えています。僕はアプガと同じレーベルのアイドル・グループの取材をしたことがあって担当者も知っているから、すぐにライヴ取材とインタビューを申し込んで。『セカンドアルバム(仮)』を出すか出さないかの頃ですよ。AKIBAカルチャーズ劇場のマスコミ向けのこけら落としもアプガでした(2013年10月1日)。カルチャーズの定期公演では「佐保道場」という、当時のアプガの持ち歌を全曲メドレー&ノンストップでやるという、のちのハイスパ(アプガの激しさを象徴するライヴ・シリーズ)につながるステージが特に印象に残っています。2012~13年頃はアプガを毎月というか毎週のように撮っていて、成長していくのが目に取るというか、手に取るように分かった時期ですね。
――アプガのような壮絶なパフォーマンスを撮る時と、スタジオで女優のポートレイトを撮る時では、気持ちの上でも相当違うのではないかと思うのですが。
「きれいに撮りたい」、「その子の内面を出すような表情を撮りたい」という意識の面では、どちらも同じですね。ただ、ライヴでは一瞬のパフォーマンスを狙いますが、スタジオでは、いい表情を押さえるようにしているところが、違いと言えば違いかもしれません。相手が構えたあとに、あえて間をおくと、いい表情が撮れるんです。中でも、川口春奈ちゃん、武田梨奈ちゃん、清野菜名ちゃんはデビュー当時から撮っていて、ヤスに慣れていることもあって、すごくいい表情を魅せてくれます。
――そしてヤスさんは、いろんな映画もご覧になっている。アイドルファンにお勧めの映画や女優は?
映画監督の酒井麻衣さんが大注目です。『いいにおいのする映画』が、MOOSIC LAB2015という音楽と新人監督のコラボ映画祭に出品されて6冠をとってグランプリになった。それに、すごくかわいい。すぐに取材したい(会いたい)と思って、6回連続で取材しました。最新作『はらはらなのか。』(今年4月1日より劇場公開)の取材もしたので、もう7回目です(笑)。誌面での連載も予定しています。
――そのフットワークの軽さと粘り強さを見習いたいと思います。初期衝動を大切にしているというか……。
『はらはらなのか。』の撮影現場にも行きましたし、エキストラの経験もさせてもらいました。