加工食品に含まれる油脂や糖質による肥満問題が深刻なアメリカ。その国で手作りの食卓を整える人を増やす、小さな改革を試みたフードライターの体験ルポ。
フランスの一流料理教室、ル・コルドン・ブルーを卒業した著者は、料理に苦手意識を持ち加工食品に頼る女性10人を対象に料理教室を開く。例えば、手作りと市販のパスタソースを食べ比べて商品に含まれる食品添加物について解説し、実は簡単に手作りできることを教える。技術指導だけに留まらない教室での体験を通して、「包丁が怖い」などと怯えていた受講生が自信をつけていく過程がドラマチックだ。家族関係に問題を抱えていて自己評価が低い、など受講生の背景まで取材したコラムが効果的に挿入されている。料理が、その人の人生と深く結びついていることが分かる一冊。
※週刊朝日 2017年3月31日号