春一番が吹いてからしばらくまた真冬の寒さが続いたので、春が遠のいた気さえしていましたが、気づけば3月。桜の蕾も徐々に膨らむ季節です。
春を感じる植物といえば、やはり桜でしょうか。食材ならば……「ふきのとう」を挙げる方もいると思います。実は冬眠から覚めたがまず口にするもの、それが「ふきのとう」だと言われています。人間も古くから早春の味覚として、好んで食してきました。
そこで、今がまさに旬の「ふきのとう」について詳しくご紹介したいと思います。

「ふきのとう」をはじめ、春の山菜摘みが楽しい季節
「ふきのとう」をはじめ、春の山菜摘みが楽しい季節

「ふきのとう」は「蕗の薹」

「ふきのとう」は漢字で「蕗の薹」と書きます。
婚期を逃すなど、何かをするのに年齢が行きすぎていることを「薹が立つ」と言いますよね。「薹」とは蕗やアブラナなど花をつける茎「花茎」のことで、成長すると硬くなって食べられなくなるのです。
ふきのとうは、雪が解け始める頃に土からひょっこりと顔を出します。蕾は固く閉じ、周りの葉でしっかり覆われていますが、暖かくなってくると葉が開き始めます。食べごろはそこまで。葉の中の蕾が開く頃には苦味が強くなります。
美味しい時期が早春に限られているのも、季節を感じる食材として記憶に残る理由かもしれませんね。
ふきのとう(ふき)は繁殖力が高く、山の斜面や沢、川岸や土手、林などでしばしば見かけます。香りもよく、山菜摘みに出かければ嬉しい収穫物として持ち帰る方も多いでしょう。
しかし、ふきのとうとよく似た毒草ハシリドコロを誤って口にし昏睡状態に陥る事故も起きているので、十分注意しましょう。

蕾が閉じているものが食べごろ
蕾が閉じているものが食べごろ

「ふきのとう」を美味しく食べるには

ふきのとうの独特な香りは、フキノリドという成分によるもの。胃腸の働きをよくする効果もあるんですよ。
また、苦味があるのは、肝機能を高め新陳代謝を促すといわれるアルカノイドや、活性酸素などの発がん性物質を抑制するといわれるケンフェールが含まれているから。
「良薬は口に苦し」といいますが、まさにそのとおりですね。
その苦味をダイレクトに楽しむなら、あく抜きせずに衣をつけてさっと揚げる天ぷらがおススメです。春の香りが口いっぱいに広がりますよ!
少し苦味を抑えて食べやすくするなら、おひたしや和えものはいかがでしょうか?
調理法は簡単!
沸騰させたお湯に塩を加えてから、ふきのとうを入れ、3~4分茹でたら取りだし冷水に浸します。
十分に冷めたら水気を切って食べやすい大きさに切り、鰹節と醤油を合わせればおひたしの出来上がり。酢味噌と和えるのもよいですね!

ふきのとうと言えば……天ぷら!
ふきのとうと言えば……天ぷら!

ふきのとうがたくさんある時はぜひ「ふきのとう味噌」にしましょう。温かいご飯にのせるだけで食卓に春がやってきます!
作り方は……
おひたしにする時と同様に下茹でし、水気を切ってから細かく刻みます。
フライパンにごま油をひいてから、砂糖、みりん、味噌を合わせた調味料と一緒に炒めれば出来上がり!
―― 意外と身近なところに生えている「ふきのとう」。
春を探しに散歩していたら見つけた!ということもあります。今この時季にしか味わえない味覚を気軽に楽しんでみてくださいね!

ホカホカごはんと一緒に!「ふきのとう味噌」
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