私は、事件の中心にいた人間として、そしてまた、政治家の端くれとして、捜査機関の考え方には、「彼らも立場があるしね」と、これまでは理解しようと努めてきました。しかし、司法が法に則り、被疑者の権利を尊重しながら裁判を行っているかどうかということは、私個人の責任や自罰感情とは全く異なる文脈の話です。
近年、冤罪事件が相次いで、捜査機関の無茶で違法な取り調べが問題となっていますが、私も自分の事件を通して、司法には大きな闇があるのだということを知りました。
空は青くて、世界は広い
――今後、政治の世界に戻る気はありますか。
それはありません。私は、自分が次に行う仕事はとことん自分の身も心も削るようなものでなければと、工事現場の作業員に応募したこともあります。現場が国会議事堂前だったから土地勘あるし、と思って。結局不合格だったんですが。
――事件を振り返って、今思うことは。
私の選挙に関わったばかりに、多くの方が自身の政治キャリアを突然、幕引きせざるを得なくなり、広島で肩身の狭い思いで生活されているということが苦しくて、切なくて、なんとお詫びをしたらいいのか、本当に申し訳なく思っています。
私は、これまで応援してくださった方々にも恩返しをしていません。どのような形かはまだわからないけれども、社会を構成する一人の国民として、いつかは社会に貢献しなければならないと思っています。社会的に意義のある仕事をし、その姿を見ていただいて信頼を取り戻すしかありません。
でも、世の中は寛容で空は青くて、世界は広くて柔軟です。絶望しないで世の中を信じて生きていきたいです。最近、ボクシングと水泳を始めました。水が苦手なので、まずは顔をつけるところから始めています。
こうして、一歩一歩、進んでいけたらと思っています。
(AERA編集部・大崎百紀)
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