最も激戦となった印象を受けるのが智弁和歌山、花巻東、東洋大姫路、済美、弘前学院聖愛、西日本短大付、明秀日立、聖隷クリストファーのゾーンだ。中でも選抜準優勝の智弁和歌山、昨年秋の明治神宮大会準優勝の東洋大姫路の近畿勢2校が中心となりそうだが、わずかに智弁和歌山が上回ると予想した。

 選抜ではエースの渡辺颯人(3年)に頼る部分が大きかったが、2番手の宮口龍斗(3年)に加えて田中息吹(3年)、和気匠太(2年)の2人も大きく成長。野手陣もチーム内の競争が激しく、確実に底上げされた印象だ。また捕手の山田凛虎(2年)も2年生ながら攻守に抜群の存在感を示しているのも大きい。激戦のゾーンを勝ち抜けば4年ぶりの夏の頂点も見えてくるだろう。

 最後は青藍泰斗、佐賀北、市船橋、明豊、県岐阜商、日大山形、北海、東海大本星翔のゾーン。そこまで飛びぬけたチームは不在という印象だが、5年連続出場となる明豊が勝ち上がると予想した。

 投手陣は左右のタイプの異なる3人が揃い、いずれも失点が計算できるのが強み。打線も上位は機動力が使え、また守備も大分大会5試合で2失策としっかり鍛えられている。対抗として面白いのが県岐阜商だ。2年生エースの柴田蒼亮はスピード、コントロールともに高レベルで、岐阜大会では28回を投げて1失点と抜群の安定感を誇る。打線も好投手を相手に見事な集中打を見せ、チーム打率は4割近い数字をマークした。創部100年という節目の年だけに、今大会にかける思いも強いだろう。

 昨年は京都国際が初優勝を果たし、大社が旋風と呼ばれる活躍を見せたことが大きな話題となった。それだけに今年も前評判はそこまで高くなくても上位進出するチームが出てくることを期待したい。

(文・西尾典文)

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