「めっちゃ痛くてだるいんですけど」

 それが、やってみて思っていたものと全然違ってびっくりした。血管がギューっとなんねん。加圧トレーニングは腕や脚の付け根に専用のベルトを巻き、そこから細いチューブのようなものが器械につながっていて、トレーニングの前にトレーナーの先生がスイッチを入れたり切ったりして空気圧を調節する。ぶいーん、ぶいーんと締めたりゆるめたり。

 ほら、あれに似てる感じよ。たぶん誰もがやったことがある、指にゴムを巻き付けて、指の先の血が溜まって紫色になるやつ。あれのちゃんとした版(笑)。徐々に血流を制限した状態にして筋トレを行うのだ。その状況で筋肉に軽い負荷をかけると、短時間で高いトレーニング効果が得られるのだそうだ。

 いやしかし、軽い負荷とはいえ、トレーニングはトレーニング。血管がパンパンになった状態では腕を前に出してグーパーするだけでも「ひ〜!」ってなる。毎回「先生これって血管がちん切れそうな感じで、めっちゃ痛くてだるいんですけどあってます?」って聞いちゃうぐらい厳しい。

 しかし「はい、みなさんそうおっしゃいます♪」と軽くいなされて、どんなに死にそうな声を出しても全く相手にしてもらえず、「はいあと10回いきますよ〜」とこれまたこちらの限界ギリギリまで追い込んでくる。「私なら途中でやめちゃってるわね〜、みなさんすごいわっ。よくできましたっ!」って褒めてくれるのだが、トレーニングの途中は憎らしくて憎らしくて(笑)。しかし、トレーニングとはそういうもので、自分でできないことをやらされるのがポイントだから、憎まれてもそれでいいのだそうだ。トレーニングをお願いしておいて“楽ちん”っていうのも、たしかにねえ。

 きっかけは、膝の痛みと更年期によるホルモン変化で体重増加が止まらなくなり、体が重くて仕方なかったこと。ここ5年ほど、コロナ禍で散歩しすぎて膝を痛め、退職して通勤もなくなって運動しなくなって……と負のスパイラルに入り込んでいた私。そんな私を見た友人が「私もかつて腰痛がひどくてトレーニングを始めたのよ。やってみる?」と勧めてくれたのだ。

次のページ 「体重は、ほぼ食事ですから!」