
広島が大失速している。7月27日の巨人戦で今季3度目の5連敗を喫し、借金は今季ワーストの9に。5月には貯金5で首位に立った時期もあったが、7月に入ると3勝14敗3分と大きく負け越して5位に転落。最下位ヤクルトが5.5ゲーム差まで接近しており、危機的状況だ。
【写真】7年前はこんなに強かった…リーグ3連覇を果たした広島
「得点を奪えない試合展開が多く、投手陣が踏ん張れず大量失点で崩れてしまう。大失速した昨年9月の戦いぶりと似ています。連打がなかなか望めない中、得点を取る工夫が感じられない。選手の起用法を含め、チームの立て直しに向けて課題が多い」(スポーツ紙デスク)
確かに、急失速した昨年の戦いぶりが重なる。昨年は8月終了時点で首位だったが、深刻な貧打が大きなネックとなり、9月に5勝20敗と大失速。リーグ優勝どころか、CS進出を逃して4位に転落した。
広島は2016年から18年まで球団史上初のリーグ3連覇を飾ったが、その後の19年から昨年までの6年間で、Aクラス入りは新井貴浩監督が就任した23年に2位となった1度だけ。今季も現在5位で、低迷期の入り口に足を踏み入れているといえる。
マツダスタジアムで目立つ空席
気になるのは、ファン離れが見られることだ。リーグ3連覇を飾ったころはファンがスタンドを埋め尽くしてチケットが入手困難で、17年から19年までの1試合平均観客動員数は3万人を超えていた。だが、今年は本拠地・マツダスタジアムのスタンドに空席が目立つ。7月27日終了時点で1試合平均観客動員数は2万8058人。昨年の2万9376人を1000人以上も下回っている。
広島の民放テレビ関係者は「猛暑や雨の日もあったのでお客さんの出足に影響しているかもしれませんが、連日満員御礼だった時と比べると、明らかに観客数が少ない。広島は熱狂的なファンが多いですが、一度心が離れてしまうと呼び戻すのが難しい」と危機感を口にする。
新井監督への風当たりが強まっているが、広島OBは違った見方を示す。
「監督交代だけでは変わらない。コーチ陣の大幅なテコ入れやドラフト戦略の見直しなど、抜本的な改革をしないとチームを立て直せない。広島はFAや外部補強に積極的な球団ではありません。生え抜きの選手を育てることが生命線になりますが、ファームを見ても伸び悩んでいる若手が多い。投打で現在主力として活躍している30代の選手たちが衰えたら、戦力が一気に弱体化する危険性があります」