
百田:嬉しいです。あの日はメンバーもスタッフさんも「津田健次郎さんが観に来るらしい」ってザワついてましたけど(笑)。
津田:ふふふ。
百田:津田さんのキャリアは舞台から始まったんですよね?
津田:はい、演劇です。元々は、中学生の頃から「映画を撮りたい」と思っていたんですけど、大学でいよいよ撮るぞ!となった時、どうしても脚本が書けなくて。どういう映画を撮りたいのか、自分の中で定まってなかったんですね。それで2年間ぐらいフラフラしていたんですけど、さすがに何かやらなきゃと思って、「役者の勉強をすれば映画作りの参考になるかな」という気持ちで俳優養成所に通い始めた。そこから演劇にハマったんです。「すげえな、この世界」って。
百田:で、しばらくは舞台で活動した後、声優さんのオーディションを受けたんですよね。
津田:めっちゃ覚えてますね(笑)。
百田:もちろんです。津田さんの歩んできた道には、自分が経験してこなかったことがいっぱいあって、すごく興味深かったんです。中でも「声優を目指してこの世界に入ったわけじゃない」というお話が印象的で。
津田:そうです。たまたま声優のオーディションに受かったのをきっかけに、仕事量が逆転していった感じなので。
百田:戸惑いはなかったですか?
津田:当時は役者として全然食えてなかったし、ありがたかったですね。何にせよお芝居ができるのが嬉しかった。テクニックは少し違ってきますけどね。
百田:それ、ぜひ知りたいんですけど。
津田:テクニックの話ですか?(笑)。アニメや洋画の吹き替えが普通のお芝居と大きく異なるのは「自分がリズムをもっていない」というところ。僕はそこに一番苦労しました。
百田:お芝居の秒数が細かく決まってますもんね。
津田:そこさえクリアしちゃえば、あとはそんなに変わらない。
百田:私も何度か声優のお仕事をさせていただきましたけど、なかなか掴みきれなくて。台本だけじゃなく、映像に出ている秒数も目で追わないといけないとか、同時にやることが山ほどあるじゃないですか。たぶん基本中の基本だと思うんですけど、私は全然ついていけなくて……。