多摩川の河原でキャンプやバーベキューを楽しむ人々。多くが外国人だ=米倉昭仁撮影
多摩川の河原でキャンプやバーベキューを楽しむ人々。多くが外国人だ=米倉昭仁撮影

張りっぱなしのテントも

 同市でゴムボートによる川下りの会社を営む柴田大吾さんは、5年前から毎週月曜に多摩川上流域の河原で清掃活動を行ってきた。

 柴田さんによると、この公園でキャンプやバーベキューを楽しんでいる人は、主に日本に住むアジア人で、東アジアから中東にいたる幅広い地域からやってきた人たちのようだという。

 公園に大きなテントを張りっぱなしにしているグループも複数あり、人が入れ代わり立ち代わり、別荘のように利用しているという。

「テントに行けば、同郷の人に会えるから楽しいのでしょう。そこから出勤したりする人もいるようです」(柴田さん)

 コンロを使わずに、河原に直接置いたまきや炭で調理する人もいる。バーベキューで出たごみを燃やしたり、調理器具や食器を洗ったりする人もいる。市はこの3つの行為をしないように訴えているが、十分には守られていない。柴田さんは、河原が「無法地帯になってきた気配がある」と、憂慮する。

一気に放置ごみが増えた

 さらに、今年は6月下旬以降、一気に放置ごみが増えた。

「ここ2、3年なかったほどの量です。ひっくり返ったバーベキューコンロが放置されていたり、空き缶が詰まった段ボール箱が草むらに捨てられていたりしました」

 まだ、夏休みは始まったばかりだ。

「川遊びやバーベキューがピークとなる8月にはどうなるのか、心配です。決して悪い人たちではないと思いますが、文化の違いなのか、悪気なくごみを散らかして帰る人もいる」(柴田さん)

かつては自主マナーがあった

 釜の淵公園の河原は20年以上前から知る人ぞ知るキャンプの穴場だった。同好の士の間にはごみを持ち帰る自主ルールがあり、新参者には「マナーを守ろう」と、声がけして、秩序を保ってきたという。

 だが、コロナ禍をきっかけにこの場所が急激に注目されるようになり、外国人利用者が増えると、ごみ捨てについてのマナーやルールも、いつの間にか消滅してしまったようだ。

 バーベキューのごみ問題は、かつては都市部で発生していた。神奈川県川崎市の担当者によると、多摩川でのバーベキューが雑誌やネットで紹介され、利用者が増えてモラルが低下。ごみの大量投棄などが問題となったのは、20年ほど前のことだ。

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