「このごみは家で分別して捨てます」と、ネパール人グループの一人は言い、持ち帰った=米倉昭仁撮影
「このごみは家で分別して捨てます」と、ネパール人グループの一人は言い、持ち帰った=米倉昭仁撮影

川崎では24時間態勢で見回り

 国土交通省京浜河川事務所の担当者は、「特に深刻だったのが東急電鉄の二子新地駅から近い二子橋(川崎市高津区)付近です」と話す。

 川崎市は2011年、「多摩川河川敷バーベキュー適正利用計画」を作成し、都市公園条例を一部改正、市が管理する河川敷の占有区域でのバーベキュー規制を行った。その後、有料のバーベキュー場「多摩川緑地バーベキュー広場」が設けられ、指定管理者が24時間態勢で見回りをするようになった。

 柴田さんは言う。

「以前と比べれば、二子橋や丸子橋(川崎市中原区)のごみは確かに減ったかもしれませんが、川面から観察すると、まだ多くのごみが見受けられます」

 柴田さんは今年6月、東京都立川市の中学生とともに6日間かけて多摩川の源流から河口まで約140キロを下った。さまざまな河原で、バーベキューを楽しむ外国人を見かけたという。

不心得者は一部でも

 放置ごみの急激な増加は、外国人バーベキュー客が増えたからなのだろうか。

 気になって夕方まで様子を見守っていると、大半の人々はごみをきちんと持ち帰っていた。大きなごみ袋をいくつも手にしたネパール人のグループは、「家に持ち帰って、分別して捨てます」と語った。

 ただ、あまりにも多くの人々が河原を訪れるため、少数でも不心得者がいると、放置ごみはそれなりの量になってしまう。花見や花火などのイベントで同様の問題がたびたび発生していることを考えれば、おそらくそこに外国人も日本人も関係ないはずだ。

 また、地元の清掃ボランティアの呼びかけを知らない人がいる可能性も考えられる。

 青梅市は今年度、釜の淵公園の河原を訪れるバーベキュー客によるごみの不法投棄について、実態調査を行っている。

 柴田さんはこう話す。

「マナーを守らない一部の人たちのために、多くの人々が河原から締め出される事態は避けたい。啓発活動が必要だと思いますが、シンプルなことなのに、なかなか伝わらないのが現状です」

 多摩川は日本人にとっても外国人にとっても憩いの場だ。豊かな川辺の文化がいつまでも続くことを願っている。

(AERA編集部・米倉昭仁)

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