同じドイツに移籍した川崎颯太やE-1選手権に出場した稲垣祥などもチャンスをうかがっているだけに、藤田にとってはW杯行きへ向けて非常に大事な新シーズンになる。
FW陣では、浅野拓磨(マジョルカ)と古橋亨梧(バーミンガム・シティ)が落選の危機にあり、さらに最終予選殊勲者の小川航基(NECナイメヘン)の立場も安心できないものになってきた。
前回のカタールW杯での殊勲者の一人である浅野は、森保監督の“お気に入り”だったが、2023年9月の招集を最後にメンバー外が続いている。
その理由は故障にあるが、他のFW陣が代表の舞台で次々と試されて一定の評価を掴む中、浅野の存在感と必要性が薄まってきたことは間違いない。しかし、まだ30歳で老け込む年齢ではない。何より、大舞台での“一発”を持っている男であり、できることなら「切り札」として手元に置いておきたい人材のはずだ。
しかし、メンバー枠26人を考えた際、現状ではどうしても溢れてしまう位置にいる。メンバーに滑り込むためには、スペイン2年目となる新シーズンでのアピールが必要になる。
その浅野が不在の間に招集されていた古橋は、移籍失敗が響いた。
昨冬にセルティックを飛び出してフランス1部のスタッド・レンヌへと移ったが、半年間で出場6試合(スタメン1試合)のみと不遇の時を過ごしたのだ。それにより、セルティックで得点量産中の時期にあった「古橋をもっと使え」の声も自然消滅的に消えてしまっている。
一瞬のスピードでのラインブレイクとシュートセンスは非凡なものがあるのは間違いないが、スピードと戦術的活用度で前田大然に劣り、ボックスストライカーとしては大橋祐紀もいる。今季、古橋がバーミンガム・シティに移籍したことで、図らずも大橋と同じチャンピオンシップで対決することになったが、この直接対決が代表選考にも影響するかもしれない。
さらに一時はW杯当確ランプを点けた小川も、随分と立場が揺らいできてしまった。